210万人を動員した「民衆蜂起の象徴」リオのカーニバルは、2021年に開催できるか?

世界各地から約42万人の集客。100か国以上に生中継

車椅子でのパレード

多様性と助け合い合いの国、ブラジル。車椅子でのパレード出場者も少なくない。弱者が沈黙・孤立することはなく、むしろ楽しく声をあげることができる社会だ

 今年はリオデジャネイロのカーニバルに押し寄せた約210万人のうち、約23%の42万人が外国人観光客だった。南米大陸からはアルゼンチとチリ、北米大陸からはアメリカ、欧州からはイタリアを筆頭に、今年も欧州各国、北米、中米、アジア各国からの動員記録を更新した。  リオ市・市警に正式登録認定され、街中の一般道を封鎖して各地で同時多発に行われる大型パレードは453本に及んだ。その動員合計は、地元リオ市民と観光客を合わせて約708万人を超えた。  数字を見るだけでもリオのカーニバルがいかに巨大な国際メジャーイベント、リーグ制のコンペティションであるかがわかる。同時に、いかに日本ではマイナーで、不自然にもほとんど報道・紹介されていないかがご理解いただけたのではないだろうか。  日本のメディアで取り扱われている情報がいかに操作され、偏った視野の情報のものなのか。3.11以降や今回のコロナウイルス関連情報でも気づかれる人は多いのではないだろうか。

27万人を動員した大型スタジアムでの「メインイベント」では他市のチームが優勝

打楽器隊

打楽器隊点で40点満点を獲得した「Vila Isabel」の打楽器隊

 リオのカーニバルの象徴である名物、メインアトラクションは「リーグ採点制のパレード・コンテスト」だ。それは「エスコーラ・ヂ・サンバ」と呼ばれる、リオ市とその隣接各市の地域共同体に根ざすサンバチーム各4000人程度によって、パレード専用スタジアム(最大:約9万人収容)で凌ぎを削るクリエイティブな表現によるコンテストだ。これは世界100か国以上に生中継配信された。 「リオのカーニバルのメイン」である専用スタジアム(有料チケット制観戦)では、1部と2部リーグまでがパレードを許される。今年は4日間で約27万5000人の動員があった。今年は降雨続きだったため、例年より少なかった。  トップリーグ12チーム(エスコーラと呼ばれる各地域のサンバ共同体)中、3チームがリオ市外の他市のエスコーラだった。中でも、優勝したエスコーラはリオ市ではなく、多額の助成予算を割いたニテロイ市のエスコーラ、VIRADOURO:ヴィラドウロ。さらに上位入賞の6エスコーラ中、3エスコーラが「リオ市以外のエスコーラ」だった。  VIRADOUROの本拠地はリオ州リオ市ではなく、湾を隔てた対岸のニテロイ市にあるが、今年はなんと総額約1億5000万円もの予算が1部・2部リーグに所属する同市の3エスコーラに支払われた。
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現リオ市長は「カーニバル嫌い」!?
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