台車を使って集める作戦に転向
そこで、後日あらためて台車を用意して臨むことに。道なりにゴミを拾いながら、森に設置されているゴミ箱に集めていく作戦にシフトした。
今回もみるみるうちに台車はいっぱいになっていくが、前回よりも多くのゴミを捨てていくことに成功! また、他人とは2メートルの距離を取らなければならないのだが、道ゆく散歩中の人も声をかけてきた。
「個人でやってるんですか? さっき集めてあるゴミを見ましたよ。応援してます!」(50代の夫婦)
「ゴミ拾い? 今日はリュックが小さいけど、俺もよく集めてるよ」(30代の自転車乗り)
「いつも決まった時間にやってるんですか? 私も参加したいです」(30代の犬を連れた女性)
物理的には離れていても、なんだか知らない人と近づいた気分に……。
満を辞して投入した台車もゴミだらけに
また、森では我々以外にもゴミ袋を持って歩いている人を見かけることもあった。ゴミを捨てる人に比べれば数は少ないものの、同じような志を持った人がいるのは心強い。
古タイヤや絨毯なども捨てられていた
今後も森での散歩が許されるかどうかはコロナウイルスの感染者数次第だろう。しかし、外出する人が減っているのにゴミが増えているというのは、なんとも皮肉な話だ。
拾ったゴミを見てみると、使い捨て手袋のような“タイムリー”なもの以外にも、古タイヤ、壊れたスマートフォン、下着を含む衣類、絨毯など、自然に投棄されたものはさまざまだ。
あっという間にゴミ箱はいっぱいに
コロナウイルスに関連しては、「地球を浄化するためにウイルスが発生した!」という陰謀論的な言説も見られるが、冒頭で述べた大気や水質汚染、そして我々が近所の森で目にした光景にしても、人が自然環境を破壊しているのは紛れもない事実。世間ではコロナ収束後の経済活動ばかりが注目されているが、今後はこういった環境問題にも目を向ける必要があるだろう。
森は国有林なので、集めたゴミは業者が回収してくれる。風で飛ばないよう、収まりきらないゴミも念入りに袋詰め
日本でも不要不急の外出以外は自粛が求められているが、もし外に出る機会があるならば、身の周りの自然に目を向けてみてはどうだろう? 木々や花の美しさに目を奪われがちだが、足元には思わぬ景色が広がっているかもしれない。
コロナ収束後は経済だけでなく、環境問題も重要な課題だ
<取材・文・撮影/林 泰人>
ライター・編集者。日本人の父、ポーランド人の母を持つ。日本語、英語、ポーランド語のトライリンガルで西武ライオンズファン