コロナ禍でモラ夫の横暴が蔓延っても離婚が増えないワケ。しかし、いつか断罪される<モラ夫バスターな日々46>

10万円の給付金がモラ夫の口座に入る理不尽さ

 コロナ禍及びそれに伴う自粛要請でコロナ恐慌は、ほぼ確実となってきた。夫も妻も、将来の先行きに大きな不安を抱いている。市民を経済不安から救うための給付金の10万円はおそらく単発だろうから、焼け石に水だろう。しかも、個々人ではなく、世帯主へ給付される。  当然、モラ夫は、「世帯主である俺に給付されたもの」と考える。実際、世帯主が、世帯構成員全員分への給付金を申請し、受け取れる仕組みだ。こんなところにもモラ文化(男尊女卑、イエ制度など夫による妻に対する支配を許容し、助長する文化的、社会的規範群)が厳然と存在している。  夫がモラ夫であることに気づき始めた妻たちにとって、「世帯主給付」の理不尽は耐え難いものである。この理不尽は、妻たちの不満や絶望的な気持ちを増幅させる。

コロナ離婚は当面は増えない。だが禍根は残る

 さて、コロナが収束したら、コロナ離婚が増えるだろうか? おそらく、収束しても当面は増えない。先行きに不安があれば、被害妻たちは家庭内モラを我慢し、耐えることを選ぶだろう。この我慢と忍耐は、マグマとして妻の心の底に溜め込まれる。  他方、経済的自立の目途のある妻たちは、我慢しない。先日、夫に気づかれないように離婚に向け準備している妻に「(コロナで)こんな状況なので、離婚は延期しますか?」と尋ねてみた。妻は、激しく顔を横に振り、「考え直すことはあり得ません」ときっぱり断言した。  コロナ収束のその先に、経済の回復がある。リモートワークで働かないオジサンの存在が炙り出され、コロナ後の企業は、より合理性を追求するだろう。その結果、女性の活躍の場も広がるに違いない。リモートであれば、子育てを背負わざるを得ない女性たちの就業の可能性も増える。  おそらく、そのような将来は遠くない。  そのときにこそ、コロナ禍によるモラ夫のステイホームで溜まった妻たちのマグマが爆発的に噴火し、コロナ後離婚が始まる。 <文/大貫憲介 まんが/榎本まみ>
弁護士、東京第二弁護士会所属。92年、さつき法律事務所を設立。離婚、相続、ハーグ条約、入管/ビザ、外国人案件等などを主に扱う。コロナによる意識の変化を活動に取り込み、リモート相談、リモート交渉等を積極的に展開している。著書に『入管実務マニュアル』(現代人文社)、『国際結婚マニュアルQ&A』(海風書房)、『アフガニスタンから来たモハメッド君のおはなし~モハメッド君を助けよう~』(つげ書房)。ツイッター(@SatsukiLaw)にてモラ夫の実態を公開中
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