パチンコ店が営業を止められないのは、「セーフティネット5号保証」対象外のため
ここからが本論である。
まずは営業を続けているパチンコ店が「悪」なのかという問題。
パチンコ店がいわゆる「3密」とは言い難い空間であるということは再三再四に渡り
本サイトでも言及してきたが、だからと言って筆者は一度もパチンコ店が「安全な場所」とは言っていない。
他の施設と比べて、特別に感染危険度が高い訳ではないという説明をしてきただけだ。
しかしこれだけ多くのパチンコ店が自治体の要請に対し協力休業を選択しているなか、営業中のパチンコ店には通常よりも多く客が集まっている傾向がある。人が集まれば、スーパーマーケットも然り、町中の商店街も然り、市中感染の危険度は上がる。そういう意味では、知事らが、パチンコ店に対し強く休業要請を出す事も理解できる。
一方で、パチンコ店側が「休業したくても出来ない」理由について
も本サイトの記事で述べた。
その内容については、拙稿「
一部のパチンコ店はなぜ休業していないのか? 経営者に聞いてみた」を参照してほしい。
各社報道の姿勢や、その報道に接する人たちの中には、
「パチンコ店が営業せざるを得ない理由」について触れたり想像したりすることなく、一方的に貶めたり、非難を浴びせかける様がたびたび窺える。そのような姿勢や報道に関して筆者は強く疑義を呈したい。
あくまで、協力休業に応じたパチンコ店を含めた、「営業せざるを得ないパチンコ店」に対して、
「セーフティネット5号保証」対象業種追加措置等の対策が同時に論じられるべきであることを改めて強調したい。
さて、
店舗名を公表することが、パチンコ店に休業を強く促すことになるのかという問題。
結論から言えば、ほとんど効果はないだろう。逆効果とすら言えるかも知れない。
現在営業しているパチンコ店は
大きく二つに分けられると思う。
一つは、
セーフティネット保証等により経営的な見通しが立つのであれば休業を選択するというパチンコ店と、もう一つは、大手パチンコ店のほか、
競合するパチンコ店が軒並み休業するなか、少しでも多く集客し利益を生み出そうとするパチンコ店である。
誤解がないように言うのであれば、いくつも店舗を展開するチェーン店が後者であると言っている訳ではない。大手、準大手のパチンコ企業も、多くのM&Aを繰り返すなか、手元のキャッシュが枯渇している、もしくは多額の返済額がある等の理由がある場合もあるだろう。パチンコ店に限らず企業の経営状況は、蓋を開けてみなければ分からない。
前者のパチンコ店は、休業のタイミングを模索しているし、経営的な条件が揃わなくとも、最終的には自治体や組合の要請に応じる可能性が高い。これから先の1週間、更に多くのパチンコ店が協力休業に方針を切り替えるはず。
それでも営業を続けるパチンコ店の店舗名の公表は、もうただの「広告宣伝」に過ぎない。
パチンコ業界は、新型コロナウイルスの感染が始まったころから、集客のための広告宣伝の一切を自粛した。新台入替の広告も、営業をしているという宣伝も自粛したのだ。その宣伝を、国や自治体がやってくれる。
店舗名が公表されれば、より多くの客が集まる可能性が高く、ウイルス感染の危険度も増す。
自治体とパチンコ業界、双方にとって危険な選択になる。
<文/安達夕>