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新型コロナウィルスの感染拡大を受け、全国に緊急事態宣言が発令され、13の都道府県が特別警戒区域に指定されているなか、パチンコ店の営業に関するニュースが連日メディアで報道されている。
当初、緊急事態宣言が発令された7つの都府県では宣言直後から多くのパチンコ店が知事らの要請に対する「協力休業」へ踏み切った。大阪府と福岡県では90%以上のパチンコ店が休業しており(4月20日現在)、東京都やその他の県でも70%前後のパチンコ店が休業している。
パチンコ店を経営する会社は全国に3000社ほどあるとされており、海外上場企業や年間売上が1兆円を超える超大手企業から、家族経営で従業員も1~2名しか雇用していない零細企業まで、会社によって経営事情は様々だ。それを十把一絡げで「パチンコ店は休業を!」と要求するのは、酷だと言わざるを得ない側面もある。
だからと言って筆者は、この緊急事態におけるパチンコ店の営業を手放しで擁護する訳ではない。「パチンコ店は3密ではない」という議論は、実際にそうであっても、現状でそれは議論のメインテーマではない。大事なことは、どうすれば現在営業を継続しているパチンコ店が「協力休業」に踏み切るのかという一歩踏み込んだ議論である。
4月20日現在、都内で営業を継続する某パチンコ店(小規模店)の経営幹部A氏の話を聞いた。
「周りの競合店が休業しているなか、ウチだけが営業している。本音を言えば、ウチも休業したいが、今閉めてしまったらいつ営業再開出来るか分からない。お客さんも増えている訳ではない。常連のお年寄りも多くは家で自粛している。都の休業協力金は焼け石に水にしかならない」
店舗事務所には、日に2件~4件程、「なんで営業しているのか!」、「パチンコ店は閉めろ!」という苦情の電話が掛かってくると言う。地代家賃や借入れの返済のほか、遊技機の購入費用やホール禁煙化に際する対策費用の支払いがあり、雇用しているスタッフの人件費もある。
雇用調整助成金の申請準備もしているが、助成金は遅れて支払われるため当面はキャッシュの手出しになる。仮に休業すれば、運転資金は2カ月持たずに底を付く。「世論の批判も厳しいが、業界内部からのプレッシャーも厳しい」とA氏は小さく息を吐いた。
「営業補償をしてくれとは思わない。勿論、補償してくれるならそれに越したことはないが、それは金額的にも、世論を考えても現実的な話では無い。せめて金融機関が繋ぎの融資をしてくれれば休業を考えることが出来る」
A氏は言う。せめて「セーフティネットにパチンコ店が含まれれば」と。