「底打ち」のサインは何か? コロナ相場の大底を見極めろ!

世界を襲ったコロナショック

Photographer: Dimas Ardian/Bloomberg via Getty Images

 戦々恐々としていたコロナ相場も一時凪。今後、二番底、三番底の恐怖が投資家を襲うのかを探る冷戦状態となった。アフターコロナに向けて、大底の見分け方を識者3人に徹底解説してもらう。

コロナ相場の大底を見極めろ!

 新型コロナウイルスの感染拡大によるパニック相場がひとまず一服し、株式市場には“底探し”のムードが高まってきている。  3月19日、日経平均株価は1万6358円で一番底をつけた。相場格言に「落ちてくるナイフは摑むな」とあるように、急落時の投資は極めて危険。となれば、“アフターコロナ”の相場を探るためにも大底を見極めることは必須だ。アナリストの馬渕磨理子氏は、7~8月の「夏枯れ相場」と重なるタイミングに大底を見る。 「リーマンショック時は、二番底形成に約半年ほどの期間を要しました。今回で言えば、1-3月期、4-6月期の決算で企業の大幅マイナスや業績の下方修正を受けた夏ごろに二番底を形成するというのが私のメインシナリオです」
日米経済の今後は?

一番底をつけて以降、一定の範囲でレンジ相場を形成して保ち合いに。このレンジを上放れるか下放れるかは識者でさえ意見が割れる

 とはいえ「金融危機に対抗して国が決死の経済対策を行っていることからすでに底打ちし、二番底がつかない可能性も十分に考えられる」と馬渕氏は言う。

「底探し」の中、注目できる投資先は?

 では、そんななかで馬渕氏が注目する銘柄とは? 「景気変動の影響を受けにくいディフェンシブ株は、今売られていたとしてもいずれ値を戻す可能性が高い。リモートワークで一旦売られていた鉄道輸送株などがそれに該当します。あとは、コロナの影響を受けていない5G、IT関連への投資が無難でしょう」  では、ファンダメンタルズの観点では今回のコロナショックをどう見るか。ゴールドマン・サックス出身で、ヘッジファンドでファンドマネジャーを務めた大空翔氏は「悪材料の出尽くしによって二番底がつかない可能性はある」と持論を述べるも、そもそも論としてファンダメンタルズの信頼性に懐疑的だ。 「リーマンショック当時は株価が1年半かけて日経平均は60%弱下がったのに対し、今回は1か月強で35%の下げ。落ちるスピードが速すぎて、今のままだと本決算で今期の企業業績や財務状況のデータを正確に反映できません。現状では『悪すぎる数字が出ている』ことだけが明白であり、ファンダメンタルズを当てにした分析は山勘に近い。それよりも需給とバリエーションで判断すべきです」  そんな大空氏が注目しているのは、個別株ではなくREITだ。 「特に固定の配当がある銘柄は業績悪化の影響を受けず、長期間支払われます。この混乱相場において少額でも配当がもらえるのは大きい。さらに価格が下がればREITの利回りの魅力も増します。あとはTOB銘柄も面白い。ゴールドマン・サックスで最年少でパートナーに上り詰め、マネックス証券を設立した松本大氏が提案と対話を通して利潤を追求するアクティブファンドを立ち上げたのですが、個人の資本が入ることで株価が動く可能性があります。ほかの企業が買ってしまう前に個人で購入するのもありでしょう」
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「二番底」にはこう備えろ
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