新型コロナウイルスの感染拡大を受け、4月7日に政府は7都府県に対して緊急事態宣言を発令した。さらに16日には対象地域が全国に拡大された。これまで外出の自粛や公立の小中高では休校措置が取られてきたが、保育園は原則として開園を続けてきた。
しかし緊急事態宣言の発令によって、一部の自治体では認可保育園の原則休園を打ち出す動きが見られたほか、自主的に臨時休園に踏み切る認可外保育園事業者も出始めている。感染リスクを感じながら開園を続けてきた事業者に対策や臨時休園を決めた理由について聞いた。(※取材は4月9日にオンラインで実施)
取材に応じてくれたのは、東京都新宿区・文京区で認可保育園、企業主導型保育園を合わせて4園運営する辻村人財コンサル株式会社
「繭の糸グループ」理事長の辻村あいさん。運営の4園のうち3園を4月8日から緊急事態宣言が終わる5月6日まで、約1ヶ月にわたり臨時休園する。
保育園では「濃厚接触」の連続。感染拡大がいつ起こってもおかしくない
3月初旬から公立の小中高では休校となったが、保育園は「原則として開園」とされた。しかし多くの人が集まり、園児と保育士が近距離で接することから、保育園はあらゆる感染症対策を取りながら園児を受け入れていた。
「繭の糸グループ」が運営する4園で実施してきた予防対策について辻村理事長は、次のように話す。
「お子さんをお預かりする際、玄関での検温と手指消毒を徹底しました。保育士がお子さんの体温を計り、37.5度以下であることと目に見えて体調が悪くないかをチェックします。さらに手指の消毒と洋服に除菌スプレーを吹きかけてから保育スペースへ入室してもらいました」
そのほか全ての保護者と約70人いるスタッフ全員に除菌スプレーを配布し、日常的な手指消毒に努めてもらった。
しかし、どんな対策を講じても「新型コロナウイルスの感染をどこまで防げるかはわからない」と辻村理事長は不安な気持ちを抱いてきたという。
「保育園では、保育関係者とお子さんの濃厚接触が繰り返されています。手を取って一緒に遊びますし、オムツ交換時には便や便で汚れた洋服に触れてしまうリスクはあります。細心の注意を払っても、保育園はいつ感染拡大の場になってもおかしくないわけです」