最も南側、JR品川駅寄りの「4街区」は地上30階・地下3階・塔屋1階のツインタワーとなる。高輪ゲートウェイ駅と直結されるこの4街区は「グローバルゲートウェイの顔」ともいうべきエリアで、オフィス、ホテル、商業施設などが入居。ホテルは国際水準のものをめざすということで「都内屈指の超高級ホテル」が進出する可能性もあろう。
さらに、4街区には重層的な広場が設けられ、デッキ上には高輪ゲートウェイ駅前歩行者広場が、下層階には交通広場(約3,500㎡)を設置。電車とバス・タクシーの乗り換えも便利なものとなる。
駅前広場は約6,500㎡と、都内の駅前広場としては有数の面積。イベント開催も可能な多目的スペースなども併設される予定だ。
4街区に設けられる広大な「高輪ゲートウェイ駅前広場」(国道15号線(第一京浜)側)。
(JR東日本ニュースリリースより)
この4街区には泉岳寺駅と駅前広場・高輪ゲートウェイ駅から線路を超えて芝浦港南地区(東京湾方面)を結ぶ連絡橋(自由通路)も設けられる。将来的にはこの芝浦地区においても大型再開発が計画されており、グローバルゲートウェイが完成した数年後にはまた新たな街が誕生することになるだろう。
駅前広場が設置されることになるグローバルゲートウェイ4街区前(高輪ゲートウェイ駅開業前)。
新駅などいくつかの建設計画が掲出されていた。
4街区・高輪ゲートウェイ駅前。(JR東日本ニュースリリースより)
ここから芝浦方面への連絡橋(自由通路)も設けられる。
「グローバルゲートウェイ品川」1~4街区の立体図(JR東日本ニュースリリースより)。
「玄関口」の経済効果は1兆4000億円――新駅名の答えがここに
グローバルゲートウェイの4つの街区全ての完成は2024年度になる予定だが、再開発はこれで終わる訳ではない。4街区の南側にあるJR品川駅では2027年の開業を目指して
リニア中央新幹線の建設工事が進んでおり、将来的にはJR品川駅と直結すべく、再開発エリアもさらに南側まで伸びる計画となっている。
つまり
「グローバルゲートウェイ」という名称には、「『リニア中央新幹線』『東海道新幹線』、さらに『羽田空港』からのアクセスが良好なこの地を『東京の新たな玄関口としたい』」というJR東日本の思いが込められているのだ。
賛否を呼んだ「ゲートウェイ」。「東京の新たな玄関口にしたい」という思いが込められている。
駅構内の無人コンビニ「TOUCH TO GO」。数々の新技術が導入されている。
JR東日本は、新駅の開設を含む「グローバルゲートウェイ」開発の経済効果を約1兆4000億円と見込んでおり、賛否を巻き起こしてまで新駅に「ゲートウェイ」の名前を付けた理由を伺い知ることができる。
ご存知の通り「リニア中央新幹線」と「東海道新幹線」はJR東海が、そして「空港線」は京急が運営するものであり、それぞれはJR東日本と直接関わりがある訳ではない。「本当の玄関口」の役割を果たすのは他社路線(しかも隣駅)でありながら、自社の土地を活用して「玄関口」の名前を冠した再開発をおこなうJR東日本――ここに「JR東日本のしたたかさ」を感じずにはいられないのは筆者だけであろうか。
羽田空港から「グローバルゲートウェイ品川」までは京急に乗車して品川駅・泉岳寺駅で下車。乗り換えなしでアクセスすることができる。
(京急羽田空港国内線ターミナル駅(3月14日からは羽田空港第1・第2ターミナル駅))
「山手線らしくない」として賛否両論を巻き起こした駅名「高輪ゲートウェイ」。
近い将来、リニア中央新幹線が開業して「グローバルゲートウェイ」の名前が定着したころには、駅名に違和感を覚えることもなくなっているかも知れない。
<取材・文・撮影/若杉優貴(都市商業研究所)>
若手研究者で作る「商業」と「まちづくり」の研究団体『
都市商業研究所』。Webサイト「都商研ニュース」では、研究員の独自取材や各社のプレスリリースなどを基に、商業とまちづくりに興味がある人に対して「都市」と「商業」の動きを分かりやすく解説している。Twitterアカウントは「
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