新型コロナ禍のデマが物流を混乱させる!「国の血液」、物流業界への影響

国の「血液」でもある運送業

デマで物流は混乱する

新型コロナ禍が物流に及ぼした影響

 「トラックドライバーが一般ドライバーに知っておいてほしい“トラックの裏事情”」をテーマに紹介している本シリーズ。  前回の記事(「『送料』は『無料』じゃない! 『送料無料』を喧伝する裏に潜む運送業軽視」)は、楽天の「送料無料化」に対して、元ドライバーとして感じる日本の「顧客至上主義」について述べたが、今回は、昨今蔓延する新型コロナウイルスがトラックドライバーや物流に及ぼしている影響をまとめて紹介していきたい。  2月、突如として売店からトイレットペーパーが姿を消した。  報道された通り、広く拡散された「マスクはトイレットペーパーからできている」や「トイレットペーパーは中国から輸入されており今後買えなくなる」といった情報は全くのデマで、それらの情報が流れた後にも、倉庫や製造工場には多くの在庫や原料の古紙が潤沢にあった。  実際、暫くの間トイレットペーパーはその姿を消したものの、製造工場や各スーパーなどはその直後、「大量に積み上げられたロール」の写真や「お1人様10点まで」とする“パフォーマンス”で、騒ぎ立てる消費者を黙らせた。  一方、トイレットペーパーを店へと運び、世間の需要をどこよりも早く敏感に感じ取るトラックドライバーの中から聞こえてきたのは、「古紙の動きが大きい」という声だった。  しかし、それでも彼らから「トイレットペーパーを運ばなくなった」、「品薄になっている」というような話は全く聞こえてくることはなく、SNS上では、トラックドライバーたちが次のようなツイートを連日投稿していた。  「なぜトイレットペーパーが不足じゃないって言い切れるかって?だってトイレットペーパー運んでるもんw倉庫に在庫たんまりありますよw」  「週明けの積みがトイレットペーパーとティッシュ」  「僕も運んでるけどなくなる事はない」  「今日も〇〇(大手トイレットペーパーメーカー)の倉庫行きましたが紙製品は大量にあります」

デマのせいでトイレットペーパーを何度も運ぶことになるドライバー

 彼らがこうした声を上げ続けたのには理由がある。他でもない、こうした物流の混乱はドライバーに大きな負担となってそのまま自身に跳ね返ってくるからだ。    SNSには、  「どっかの誰かがデマを流すせいで不必要に仕事が増えてまじきつい」  「デマ流したやつのせいで物流関係めちゃくちゃ。トラックドライバー無駄に働かなきゃいけないからマジでクソすぎるわ」  「くだらないデマのせいで大忙しの製紙工場。みなさんティッシュ、トイレットペーパーの在庫は豊富にあります。何でもそうですが買い占められるとその補充のために物流がおかしくなります」  などといった、現場の混乱を訴える声も多く見られた。    日本の貨物輸送の9割以上は、トラックが担っている。しかし、定期便として輸送ルートがあらかじめ決められていること、そして何よりトラックドライバーの慢性的な人手不足により、こうしたデマ情報はトラック物流業界にとって大きな混乱を招く原因になるのだ。  トラックがあっても、運ぶ商品があっても、それを運ぶ「人間(ドライバー)」がいなければ、物流は今回の騒動ように簡単に止まってしまうのである。
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大規模イベント中止のしわ寄せなども
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