(Photo by Stanislav Kogiku/SOPA Images/LightRocket via Getty Images)
安倍政権は新型コロナウイルスの対応で後手に回っている。「医療崩壊」という言葉を錦の御旗にウイルス検査も僅かしか実施せず、感染者の人数を過少評価している。これに対して、専門家から批判の声が上がっている。
韓国では政権擁護派から「医療崩壊した」などというデマが流されていたが、そのようなことはなく、検査を徹底し、新規感染者数も減りつつあり、欧米諸国も韓国の対応を評価しているのが現実だ。
しかし、安倍政権やメディアがそれらの声を封じ込めようとしている。明日21日発売の日本の自立と再生を目指す闘う言論誌
『月刊日本 4月号』では、巻頭特集「亡国の淵に立たされた日本」と題した特集内で、日夜メディアで新型コロナウイルスについての発信を続けている医師・医療ガバナンス研究所理事長である上昌広氏による衝撃的な告白を掲載している。
今回はその上氏の告発を転載・紹介したい。
―― 上さんは医師・研究者としてテレビに出演し、安倍政権の新型コロナウイルス対策に警鐘を鳴らしてきました。しかし最近、圧力を感じることがあったそうですね。
上昌広氏(以下、上):先日、某局のディレクターから「
上層部から『安倍政権の批判は控えてほしい』と言われている」と釘を刺されるということがありました。新型コロナの問題で、メディアの自主規制が働いていると感じました。
現在は海外メディアからの取材依頼が増えています。理由を聞くと、「日本には独自の意見を自由に発言する医師や専門家がほとんどいない。政府から独立している専門家を起用したいと思い、『誰か該当する人はいないか』と尋ねると、あなたの名前が上がることが多かった」と話してくれました。
「政府から独立している」というのは、政府とは関わりがないということです。確かに政府と関わりのある専門家は立場上、政府の見解と異なる意見を言いにくい。しかし私にはそういうしがらみがないので、研究者として正しいと思ったことを自由に発言することができます。そういう事情で私に声がかかったり、かからなかったりするのだと思います。
―― 安倍政権は専門家の政権批判を封じ込めようとしているようです。3月に入ってからは情報番組「羽鳥慎一モーニングショー」(テレビ朝日系)が3月4日に放送した内容について、厚労省が番組名を挙げて名指しで批判したものの、その後「訂正したい」と反論を撤回するという騒動がありました。
上:政府が口を出せばメディアは忖度してくれるかもしれませんが、
ウイルスは忖度してくれません。いまウイルスに対処するために必要なのは、自由闊達な議論です。
新型コロナは新しいウイルスであり、それゆえウイルスの正体や対策について様々な観点から議論する必要があります。そうやって議論を積み上げていけば、やがてコンセンサスも得られるはずです。それが締め付けられるようなことはあってはならないと思います。
―― 上さんは自由な立場から政府の問題点を指摘しています。まず政府は水際対策として2月1日に中国湖北省からの入国を制限し、3月8日には中国、韓国からの入国を制限しました。
上:実は、これらの措置は
水際対策になっていないのです。水際対策は外部感染を防ぐものですが、内部感染が始まっている状況ではあまり効果がないからです。
たとえば中国は1月23日に武漢を封鎖しましたが、中国本土の感染拡大を防ぐ効果はほとんどなかったことが明らかになっています。これはアメリカの医学誌『サイエンス』に掲載されたボストンの大学の研究成果です。
日本政府は2月1日に湖北省からの入国を制限しましたが、この時点ですでに国内感染が広がり始めていたと考えられるため、水際対策の効果はほとんどなかったと思います。仮に1月下旬の時点で入国制限を行っていても、大した違いはなかったはずです。
政府は
3月5日に中国と韓国からの入国を制限する追加措置をとりましたが、これも医学的にはほとんど無意味です。現在の状況では中国人と韓国人から日本人に感染するリスクよりも、日本人同士で感染するリスクのほうが圧倒的に多いからです。追加措置の効果は誤差の範囲内だと思います。