新型コロナで広がる在宅勤務。「働く」も視野に入れた賃貸物件選びの秘訣を不動産業者に聞いた。

周辺環境の部屋探しの重要なポイントになる

 日当たりや方角、風通しの良さも軽視できない。たとえば南向きや西向きの部屋では1日を通じて部屋に光が入るので、明るい空間を保てる。一方で北向きは他の方角に比べて部屋に入る光の強さが安定していることから、勉強に向いていると言われることもある。自分にとって快適な方角を選ぶのが良いだろう。  通気性については、隣接の建物との距離が近すぎない物件の方が優れている。また中部屋に比べて角部屋の方が風通しは良い。  またインターネット使用料無料の物件も在宅勤務者には心強い。自分でプロバイダと契約する手間を省けるほか、場合によっては通信費を節約できる可能性がある。ウェブ会議や頻繁なデータ送信をする人にとっては、物件のネット環境が助けになるはずだ。 賃貸アパート 物件のスペック以外には、「周辺環境をよく見て物件を決める人も増えると思います」と安孫子さんは言う。 「日用品や食材が手に入る店、医療機関や銀行が近くにあるのは魅力的です。今はネットで買い物ができますが、思い立ったらすぐに食材が手に入る距離に実店舗がある環境は便利です。  またコワーキングスペースが側にあれるのもいいですね。自宅とは違う環境に行くことで、気分を変えることができます。プリンターやスキャナが備えてあるので在宅勤務者には嬉しいですし」

通勤の頻度が下がるなら、郊外の物件に住む選択肢もあり

 安孫子さんに「もし在宅勤務をするならどんな物件に住むか」を聞くと、「スペースが広く、仕事とプライベートの区別がつけられる部屋を選びます。あとは防音性と通気性に優れているかも重視します。買い物に不便さがなければ、郊外でも構いません」と答えてくれた。  通勤頻度が下がれば、賃料が高い都心部に住む必要はなくなる。週1~2回の通勤や、たまの打ち合わせに極端な不便さがなければ、郊外の物件に引っ越すという選択肢もある。  在宅で仕事する機会が多い筆者も引っ越しをしたひとり。家族3人で1LDKに住んでいたが、3LDKに転居した。部屋数があることで仕事とプライベートを分けられるため、頭の切り替えがしやすい。空間の広さが気持ちのゆとりを生むことを実感している。  取材を行った3月中旬時点では、新型コロナウイルスによる混乱は続いている。影響がいつまで及ぶのかはわからないが、これを機に在宅勤務が以前よりも進む可能性は高いと筆者は感じる。  もともと政府は、在宅勤務を含むテレワークを推進してきた。そのひとつが、五輪開催による交通機関の混雑を避ける目的の「テレワーク・デイズ2020」だ。大会開催期間を含む7月22日(月曜日)~9月6日(金曜日)の間、全国的にテレワークの実施を呼びかけるという内容だ。  働き方の変化をふまえ、これから転居を考える人は、住み心地以外にも自宅での働きやすさも考慮して部屋を探すのもありではないだろうか。 <取材・文/薗部雄一> <取材協力/安孫子友紀>
1歳の男の子を持つパパライター。妻の産後うつをきっかけに働き方を見直し、子育てや働き方をテーマにした記事を多数書いている。
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