新型コロナで広がる在宅勤務。「働く」も視野に入れた賃貸物件選びの秘訣を不動産業者に聞いた。
新型コロナウィルスへの感染拡大を防ぐため、イベントの自粛や公立校の休校が進められ、国内に緊張が高まっている。そんな中で企業は「働き方」の転換を迫られており、在宅勤務に切り替える動きが見られる。
通勤ありきの生活から自宅で働く生活になれば、住環境に求めるものはおのずと変わってくる。物件を「仕事もできる空間」という視点で選ぶとき、どんな項目の優先順位が上がるのか。どんな物件が在宅勤務に適しているのかについて、不動産業者「縁合同会社」代表社員の安孫子友紀さんに聞いた。
2019年にリクルートが発表した「2018年度賃貸契約者動向調査」によると、首都圏在住の学生、社会人が賃貸物件を選ぶ際に重視するポイントのトップ3は、「家賃」(61.0%)、「路線・駅やエリア」(38.0%)、「最寄り駅からの時間」(32.1%)だった。通勤や通学など、移動のしやすさを優先していることがわかる。
「間取り」(26.5%)は20%台半ばと関心が向けられているものの、「面積(広さ)」(21.9%)や「設備・仕様(キッチン・お風呂・トイレなど)」(16.5%)、「生活利便性」(6.9%)、「日当たりや風通し」(6.5%)など、居住空間の広さや設備、周辺環境へのこだわりは弱い。
安孫子さんも「駅からの距離や路線を見て物件を決める方は多いですね」と話す。
「日中のほとんどを職場で過ごすのであれば、部屋の広さや間取りよりも立地や交通利便性を重視するのは当然です。ワンルームの居室は5〜7畳くらいが多いですが、若い方の中には『寝るための場所』と割り切り、さらに狭い3畳の部屋をあえて選ぶ人もいます」
しかし在宅勤務を前提として部屋を選ぶとなると、「職場」となる住空間の快適さは必須だ。いくら駅から近く、利便性の高い路線沿いにある物件でも、仕事に集中できないようでは困る。
在宅勤務に適した物件について安孫子さんがまず挙げるのが、「スペースのゆとり」だ。家で働くとなるとパソコンや書類、筆記用具などを一度に広げられるテーブルを置いたり、書類やファイルをしまえたりする空間が求められる。
家具や仕事に必要なツールを置くスペースを考えると、やや広めの部屋を選ぶのが理想だ。在宅勤務をすると公私の区別をつけにくくなる。
「1LDKのように、居室と寝室が分かれてる物件であれば、オンとオフの切り替えがしやすいメリットはあります」
また「防音性」も見るべき点だと安孫子さんは強調する。
「隣室の物音が大きく聞こえるような部屋では、仕事に集中できません。それに頻繁に電話やオンラインミーティングをすると考えると、自分の声が周りに漏れないか心配です。機密性の高い情報を扱うこともありますから、防音性の重要度は増してくると思います」
部屋の広さや生活利便性の優先度は低かったが……。
スペースのゆとりや防音性の高さは必要
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