普段は風俗嬢と客がそこかしこに見られる鶯谷ホテル街。今や歩く者はほとんどいない
濃厚接触を超えた“超濃厚接触”が行われる風俗業界は今、コロナ騒動の煽りでどこもかしこも売り上げが激減。そこで取材班は関東、関西の風俗業者に緊急アンケートを実施。風俗業界の悲痛な叫び声に耳を傾けた。
新型コロナウイルス(以下、コロナ)の新たな感染者が現れるたびに、その行動履歴が詳しく調べられる。もしもスポーツジムや飲食店などの閉鎖空間にいたことがわかれば、そこで同じ時間を過ごした濃厚接触者に注目が集まる。もはや「濃厚接触」は、今年の流行語大賞獲得間違いなしの広がりを見せているキーワードだ。
このパニック気味の風潮の折、割を食っているのが風俗業界だ。あらゆる業態の中でも最も濃厚な接触が行われるサービスゆえ、世間の反応はとりわけ敏感だ。風俗好きの男性であっても、さすがに腰が引けるという。
「もし感染したら、
自分がどこのお店でどんな人と会ったかも調べられて報道されかねない。リスクが高すぎますよね」(風俗好きの男性会社員)
こうした世相を、当事者たちはどう見ているのかを正面から調査すべく、取材班は、関東と関西の風俗店15軒にアンケートを実施。WHO(世界保健機関)が緊急事態宣言を出した1月31日以降の商売の状況を聞いてみた。
▼Q.1 コロナショックで売り上げが減ったか?
・YES 14件
・No 1件
※1月の売り上げと比べ2月の売り上げを比較したのがこちらの回答
▼Q.2 2月の売り上げ
・1~2割減 7件
・3~4割減 4件
・5割以上減 3件
・変わりなし 1件
※売り上げの比較対象は1月。最大8割減を筆頭に約半数が3割減となった
▼Q.3 コロナ対策をしているか?
・している 12件
・していない 3件
※していないと答えた3店も「そもそも衛生管理はしっかりしている」と回答
▼風俗店が実施しているコロナ対策ベスト5
1位 アルコール消毒剤設置
2位 うがい手洗いの徹底
3位 出勤時に嬢の体温測定
4位 料金割引イベント連発
5位 ラッシュを避けた出勤
※「値引きをしても反応は薄かった」という声もあり、状況は厳しい。今は嵐が過ぎ去るのを待つばかりの日々
まず、1月と比較して2月の客入りはどう変化したか尋ねたところ、影響なしと答えたのは千葉県のデリヘルのみ。人影もまばらな郊外をカバーする商圏の店では、客たちの危機意識はまだ低いようだ。対照的に都市部では壊滅的な8割減の大阪・梅田の人妻ヘルスを筆頭に、各店舗とも軒並み数字を落としている。
「1月には240万円あった売り上げが、
2月は50万円まで落ち込んでいます。ウチの店の規模でこれだけ減ると、本当に厳しい。風俗街を歩いている人も減っていますね」(大阪・梅田の人妻ヘルス)
さすがに同店ほどの減少は極端な事例だが、アンケート結果を見ると、おおむね2~3割程度の減少幅が一般的のようだ。各店とも予約のキャンセルが増えている実感があるという。
「予約キャンセルの理由として多いのが、お客さんの体調不良。『
もし僕がコロナだったら女のコにうつしちゃうと申し訳ない』とおっしゃいますね。コロナ対策で勤務先が在宅ワークを導入したので家にいなくちゃいけないとか、東京出張に合わせて遊ぶ予定を立てていたのに、出張自体が延期になったという話もよく聞きます」(東京・五反田のデリヘル「otocha~大人のおもちゃセールスレディ~」)
テレワークの影響が風俗界まで及ぶとは、誰が予想したことか。もともと風俗業界では、年末年始の繁忙期の反動で2月は落ち込むのが常とはいえ、「外国人観光客がめっきり来なくなった」(東京・歌舞伎町のデリヘル)、「新規客が先月の半分に激減」(大阪・谷九のホテヘル)といった情報も多く寄せられており、コロナの影響は甚大なのだろう。
もちろん、そうした移り気なインバウンド需要やお試しの客だけでなく、日頃から店に足繁く通っている常連客たちも、コロナ禍には戦々恐々だ。
「お店に遊びに行きたいが、周りからストップをかけられていると嘆く声を聞きますね」(大阪・梅田のホテヘル)
また、大阪日本橋の人妻ヘルスには「店は大丈夫なのか?」と心配する問い合わせが相次いでいるというし、大阪・梅田のデリヘルでは、「外国からの客を受け入れるな」という差別的・排外的なメールが届いたそうだ。