森まさこ法相の不適切発言。安倍首相はいい加減本当に「任命責任」を取る時期

森まさこ法相

森まさこ法相(衆院インターネット中継より)

閣僚の辞任と首相の任命責任

 3月12日、森まさこ法相は国会の答弁における不適切な発言に対し、安倍首相から厳重注意を受けた。森法相は、今回注意を受けた9日の「東日本大震災の時、検察官は最初に逃げた」発言以前から、検事長の定年延長を巡り矛盾した答弁を行い、野党から虚偽答弁ではないかと追求されていた。  このような問題行動を繰り返す森法相に対し、辞任を求める声は日に日に大きくなっている。もし森法相が辞任すれば、これまでに幾度となく「任命責任は私にあります」と発言してきた安倍首相も責任を追求されるだろう。  そこで本記事では、第2次安倍政権とこの20年間の政権を比較し、閣僚の辞任と首相の任命責任について考えていく。

「政治とカネ」問題で辞任した閣僚の多さ

 第2次安倍政権が誕生した2012年12月26日から執筆時点である2020年3月12日現在、在職日数は2634日であり、その間に10人の閣僚が辞任した。内訳は、小渕優子経済産業相、松島みどり法相、西川公也農林水産相、甘利明経済再生相、今村雅弘復興相、稲田朋美防衛相、江崎鉄磨沖縄・北方担当相、桜田義孝五輪相、菅原一秀経済産業相、河井克行法相の10人。    ちなみに、この20年間で第2次安倍政権を含め、9つの政権が誕生し31人の閣僚が辞任している。内訳としては、森政権3人、小泉政権3人、第1次安倍政権4人、福田康夫政権1人、麻生太郎政権3人、鳩山由紀夫政権2人、菅直人政権4人、野田佳彦政権2人、第2次安倍政権10人。  他の政権と比べてみて、10人という数はとても多く感じる。しかし、第2次安倍政権は他の政権に比べ在職日数が長いため、辞任数だけで比較するのは不適切だ。そこで在職日数に対する辞任数を求めてみると、第2次安倍政権では263.4日に1人、閣僚が辞任していることがわかった。この数字は9つの政権の中で7番目にあたり、在職日数で比較してみると第2次安倍政権の閣僚辞任数は、他の政権に比べ少ない。ちなみに1位は、91.5日に1人の閣僚が辞任した第1次安倍政権だった。  在職日数に対する辞任数はそこまで多くはなかったが、一方で、「政治とカネ」問題を理由に辞任した閣僚の数は、圧倒的に安倍政権が多い。この20年間で「政治とカネ」問題を理由に辞任した閣僚の数は、14人。うち、第一次安倍政権では3人。第二次安倍政権では5人。両政権を合わせると8人となり、「政治とカネ」問題を理由に辞任した閣僚の57%が安倍首相に任命されていた。その他の森政権17%、小泉政権7%、鳩山政権7%、菅政権7%、野田政権7%と比べると、安倍政権の異常さが浮き彫りになり、近年稀に見るカネにまみれた政権だということがわかる。
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「任命責任は私にあります」と繰り返し明言
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