新天地が韓国で新型コロナウィルスの感染源とされたことについては、「新天地の礼拝は人との間隔がめちゃくちゃ狭い上に、
大声で『アーメン』を言ったり歌をうたうので飛沫感染もする。それに
風邪を引いてもマスク着用は禁止されていて、いかに体調が悪くても入院するほどでなければ半強制的に出なければいけない。しかも、毎日です。コロナウィルスがなくても、もともと健康に悪い環境なんです」(22歳元信者)と話す。
「ただ、信者にとっては新型コロナウィルスに感染するより、
自分が新天地であるとバレるほうが怖いんです」(同)
実際に新天地が不法占拠や脱税、その他派生事件を多々起こしていることに加え、学業放棄、家庭崩壊など社会的混乱をもたらしているという批判が尽きない。
だが、いかに異端といえど、本人に実害がなければ、信教の自由は保証されるべきではないか。それについて、「日常に支障が出た」と話すのは、昨年の8月に脱会したパク・テフンさん(仮名・22歳)。入信期間は、1年8か月だった。
「とにかく、
自分の生活が何もできなくなるんです。礼拝は毎日義務付けられるし、大学が終わるとセンターに通うというあわただしい生活でした。すぐに、大学の勉強が疎かになり成績に響きました。新天地に入ると、このように成績が落ちていくケースが多い。あと、教団と関わる時間が長いほど俗世間と遮断されるから、友人と話が合わなくなったりもします」
そんな彼の様子を見た行きつけの教会の人が牧師に伝え、牧師から親に伝わったのが脱会に繋がった。
「教団では『カネや名誉を捨て、世俗から遠ざかるほど神に近づける』という旨を教えられる。『就職もするな』と言われます。
サムソンに内定していたのに、新天地に専念するため辞退した26歳の男性もうちの教会にはいます。今は脱会して、再就職を目指していますが」という。
ほとんどは、親やなじみの教会に気づかれることが脱会のきっかけとなる。一方、子供が新天地信者であることを認めようとしない親や、親自身が信者であるケースだと脱会は絶望的だという。親に入信させられた聴覚障害者が、教団の「障害者に対してまったく配慮がないシステム」に疑問を抱き自ら脱退するという例もあるが、あくまで特殊なケースだ。
新天地に入っていることが親や周囲に知られると新天地側から出家を促されるため、親や介入者は短期決戦で連れ戻しに臨むことになる。前出のキムさんの両親はそのために仕事を辞め、キムさんの携帯を取り上げ外に出ないよう監視したという。
出家をすると、共同生活をすることになる。前出のパクさんは在家信者だったが、一度だけ共同生活を体験したことがある。
「中に入ると何もなくガランとしていて、朝から晩まで説法や聖書、伝道の上手いやり方などを学ばされます」