AIは音楽と人、世界の繋がりをどう変えるのか?「HUMANOID DJ」の生みの親、エイベックス油井誠志さん<新時代・令和のクリエイターに聞く4>

文化と共に音楽を伝える

――エイベックスさんは新しい試みとして、アニメソング×クラブミュージックのプロジェクト『OMOTENASHI BEATS』も手掛けていますね。 油井: 僕の所属するR&D(Research and Development)は、音楽を作ってヒットさせることが仕事です。そのためには音楽だけではなく、文化を作らなくてはいけません。『OMOTENASHI BEATS』はアニソンも含めたジャパンカルチャーをどうやって世界に伝えていけばよいかということを考えて来た時に出て来たプロジェクトです。  「OMOTENASHI(おもてなし)」という言葉は世界の人たちが知っている言葉ですが、訪日外国人が東京で夜を過ごす時にどこへ行くのかと言うと、日本固有の音楽が流れるクラブではなく、やはりロンドンやニューヨークはもちろん、アジアだと香港やマカオにあるような洋楽の流れるクラブに行くんですね。  でも、日本固有の音楽が流れるクラブを楽しんでほしいと思うんです。発想を変えて、アニソンやJ-POPを流して、サイリウムを振ってみんなでワイワイやる、という楽しみ方もあるのではないかと思って。 ――確かに、日本の音楽が流れるクラブには行ったことがありません。J-POPのクラブは外国人の方だけではなく日本人も楽しめそうですね。 油井:『OMOTENASHI BEATS』にはHUMANOID DJのジョインも考えています。両者は発想の起点は異なりますが、グローバルでみんながつながりやすいという点では共通していますね。  僕たちの発想の真ん中には常に音楽があって、アニメもアートイベントも絶対に音楽を作って伝えるということを意識しています。新規事業はすべてそこを起点にしていますし、今後、HUMANOID DJは音楽と音楽のパートナーになるものをつなぐ役目をしていくと思います。

アニメとのコラボで海外へ

――海外進出についての御社の取り組み等をお聞かせください。 油井:エイベックスのブランチが台湾、シンガポール、北京、香港、アメリカにありますが、北京では今まで日本でやって来た曲作りのノウハウを生かして、ローカリゼーションに重点を置いて、中国で活躍するアーティストを育てています。一方、アメリカでは世界に通用する楽曲を作っています。  日本で活躍しているアーティストを海外に進出させることにも注力していますね。ライブが一番分かりやすいのですが、僕が担当している大塚 愛のアジアツアーは中国の4カ所で5,000人動員しています。  中国はbilibili、台湾、インドネシア、タイはYouTubeなどを通して日本の音楽が届いているという感触がありますね。ドラマ、アニメ主題歌でヒットした人は海外でライブをやりやすいです。アニメによってはヨーロッパ、北米でも十分やれます。やはりストーリーがあると音楽は伝わりやすいと思いますね。
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サウンドスケープが原点に
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