この3月2日の質疑を振り返ると、一斉休校に伴う以下の懸念を中心に福山議員は質問していた。
・共働き世代の小学校低学年の子供が一人で留守番をすることは困難である
・学童を朝から開くには学童職員の人員強化が必要になる
・学童で預かってもらえたとしても、学童は学校の教室より狭いので濃厚接触による感染リスクが高まっている恐れがある
・学校の空き教室を学童として利用するのであれば、普段との違いは授業や給食が出ないことでただ不便になっただけになる
これらの懸念に対して、加藤厚労相と安倍総理はまるで質問に答えられていない。
なぜか福岡市の学童保育の取り組みを紹介し始めたり、関係者に感謝の言葉を述べ始めたりするばかりだった。2月27日の
安倍総理による一斉休校要請は、子供たちや教育現場のことを全く考慮していない無計画なものであったことが伺える。
翌3月3日の国会では、学校一斉休校に関連してフリーランスや自営業者の保護者の休業補償についても加藤厚労相と安倍総理は答弁しているが、現場の実態を理解しているとは到底思えない答弁ばかりであった。
〈*詳細は前回記事「
「フリーランスへの補償は「有給」で!? フリーへの補償を問うた小池議員の質疑に驚愕の安倍答弁を信号無視話法分析」を参照〉
海外に目を移せば、新型コロナウイルスの感染者が出ている中国、台湾、イタリアなどでも一斉休校という措置はとられており、感染症対策として一斉休校に意味があることは否定しない。しかし、
日本の場合は国のトップが無計画に、突如として、理由も説明できない状態で休校を要請したために現場の運用が破綻してしまい、むしろ感染症対策として逆効果になっている恐れが高い。
<文・図版/犬飼淳>
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いぬかいじゅん●サラリーマンとして勤務する傍ら、自身の
noteで政治に関するさまざまな論考を発表。党首討論での安倍首相の答弁を色付きでわかりやすく分析した「信号無視話法」などがSNSで話題に。
noteのサークルでは読者からのフィードバックや分析のリクエストを受け付け、読者との交流を図っている。また、日英仏3ヶ国語のYouTubeチャンネル(
日本語版/
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