新型コロナウイルス流行で押し寄せる「テレワーク」の波。そのメリット・デメリット

テレワークのソフトウェアやサービス

 テレワークについて触れてきた。以下、テレワークの文脈でよく出てくる、ソフトウェアやサービスについて触れる。前述のとおり、テレワークはインターネットなどの情報通信技術を活用した、場所や時間にとらわれない柔軟な働き方のことだ。そうした働き方を実現するために、どういったITツールがあるのか見ていこう。 ◆VPN  VPN は、「Virtual Private Network」の略だ。日本語に訳すと、仮想専用線となる(参照:NTTPCコミュニケーションズ)。  種類はいろいろとあるが、手軽なものとしてはインターネットを利用した VPN がある。通信を暗号化することで、インターネットを通して仮想の専用線を構築する。コストが安いことがメリットだが、通信が遅くなったり、情報漏洩がゼロではないというデメリットもある。  社内でしか利用できないデータやツールを、遠隔地から利用するために VPN を利用することがある。こうした環境がないと、社内でしかアクセスできないデータやツールを使うたびに出勤する必要が生じる。 ◆VDI  VDI は、「Virtual Desktop Infrastructure」の略だ。日本語に訳すと、仮想デスクトップになる(参照:コトバンク)。パソコンのデスクトップ環境を、サーバー上で再現するものだ。  テレワークをおこなう人の端末が貧弱でも、サーバーの性能が高ければ、高性能なパソコンとして利用できる。会社のパソコンを持ち帰れない問題の解決にもなる。また、クライアント側にデータを保存しないので、セキュリティ上のメリットもある。 ◆チャットツール  Slack が有名だ。競合としては、Chatwork や、Microsoft Teams がある。  これらは、電子メールに変わるビジネスツールとして、社内コミュニケーションだけでなく、取り引き先とのやり取りにも用いられる。 ◆ビデオ会議  最近、周りでよく利用されているのは Zoom だ。遠隔で仕事をしていても、顔を突き合わせて話し合った方が便利なことは多い。そうした時に、ビデオ会議は利用される。会議室の予約などが必要ないので、すぐにメンバーが集まれるのがよい。  ただし、デメリットもある。マシンの性能や通信環境によって、音質が低下したり、うまく表示できなかったりといったトラブルもある。

通勤はなくせるのか

 人間が物理的にいなければならない仕事もあれば、そうではない仕事もある。前者の通勤をなくすのは難しいだろうが、後者はある程度どうにかなるはずだ。  私は18年ほど、ネットワーク越しにやり取りしながら仕事を続けている。たまに打ち合わせで人に会うが、それ以外は黙々と一人で作業をしている。  テレワークが進めば、通勤電車に毎日2時間以上揺られる人は減るだろう。また、土地の制約なしに、多くの人が協業できるようになる。現在では、まだまだ実際に会えるというメリットが強い。顔を突き合わせて打ち合わせをするのが仕事の成功につながる。  今回の騒動を機に、テレワークの比率が少しでも上がるとよいと思う。そして、すでにテレワークをしている人にも、メリットが生じればと願っている。 <文/柳井政和>
やない まさかず。クロノス・クラウン合同会社の代表社員。ゲームやアプリの開発、プログラミング系技術書や記事、マンガの執筆をおこなう。2001年オンラインソフト大賞に入賞した『めもりーくりーなー』は、累計500万ダウンロード以上。2016年、第23回松本清張賞応募作『バックドア』が最終候補となり、改題した『裏切りのプログラム ハッカー探偵 鹿敷堂桂馬』にて文藝春秋から小説家デビュー。近著は新潮社『レトロゲームファクトリー』。2019年12月に Nintendo Switch で、個人で開発した『Little Bit War(リトルビットウォー)』を出した。2021年2月には、SBクリエイティブから『JavaScript[完全]入門』、4月にはエムディエヌコーポレーションから『プロフェッショナルWebプログラミング JavaScript』が出版された。
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