テレワークについて触れてきた。以下、テレワークの文脈でよく出てくる、ソフトウェアやサービスについて触れる。前述のとおり、テレワークはインターネットなどの情報通信技術を活用した、場所や時間にとらわれない柔軟な働き方のことだ。そうした働き方を実現するために、どういったITツールがあるのか見ていこう。
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VPN
VPN は、「Virtual Private Network」の略だ。日本語に訳すと、仮想専用線となる(参照:
NTTPCコミュニケーションズ)。
種類はいろいろとあるが、手軽なものとしてはインターネットを利用した VPN がある。通信を暗号化することで、インターネットを通して仮想の専用線を構築する。コストが安いことがメリットだが、通信が遅くなったり、情報漏洩がゼロではないというデメリットもある。
社内でしか利用できないデータやツールを、遠隔地から利用するために VPN を利用することがある。こうした環境がないと、社内でしかアクセスできないデータやツールを使うたびに出勤する必要が生じる。
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VDI
VDI は、「Virtual Desktop Infrastructure」の略だ。日本語に訳すと、仮想デスクトップになる(参照:
コトバンク)。パソコンのデスクトップ環境を、サーバー上で再現するものだ。
テレワークをおこなう人の端末が貧弱でも、サーバーの性能が高ければ、高性能なパソコンとして利用できる。会社のパソコンを持ち帰れない問題の解決にもなる。また、クライアント側にデータを保存しないので、セキュリティ上のメリットもある。
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チャットツール
Slack が有名だ。競合としては、
Chatwork や、
Microsoft Teams がある。
これらは、電子メールに変わるビジネスツールとして、社内コミュニケーションだけでなく、取り引き先とのやり取りにも用いられる。
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ビデオ会議
最近、周りでよく利用されているのは
Zoom だ。遠隔で仕事をしていても、顔を突き合わせて話し合った方が便利なことは多い。そうした時に、ビデオ会議は利用される。会議室の予約などが必要ないので、すぐにメンバーが集まれるのがよい。
ただし、デメリットもある。マシンの性能や通信環境によって、音質が低下したり、うまく表示できなかったりといったトラブルもある。
人間が物理的にいなければならない仕事もあれば、そうではない仕事もある。前者の通勤をなくすのは難しいだろうが、後者はある程度どうにかなるはずだ。
私は18年ほど、ネットワーク越しにやり取りしながら仕事を続けている。たまに打ち合わせで人に会うが、それ以外は黙々と一人で作業をしている。
テレワークが進めば、通勤電車に毎日2時間以上揺られる人は減るだろう。また、土地の制約なしに、多くの人が協業できるようになる。現在では、まだまだ実際に会えるというメリットが強い。顔を突き合わせて打ち合わせをするのが仕事の成功につながる。
今回の騒動を機に、テレワークの比率が少しでも上がるとよいと思う。そして、すでにテレワークをしている人にも、メリットが生じればと願っている。
<文/柳井政和>