新型コロナウイルス流行で押し寄せる「テレワーク」の波。そのメリット・デメリット

テレワーク

Peggy und Marco Lachmann-Anke via Pixabay

新型コロナウイルスによるテレワークの波

 新型コロナウイルスが猛威を振るっている。その影響で、出社や通勤を控えることが推奨され、テレワークが広まっている。  テレワークは、インターネットなどの情報通信技術を活用した、場所や時間にとらわれない柔軟な働き方のことだ(参照:日本テレワーク協会)。リモートワークも、ほぼ同じ意味で使われている。  テレワークには、在宅勤務、モバイルワーク、サテライトオフィス勤務があり、今回の新型コロナウイルス騒動で推奨されているのは、この中の在宅勤務になる。  テレワーク、リモートワーク、在宅勤務といった言葉は、今回の騒動でよく目にする。それぞれの言葉が、どのように世間で使われているのか、Google Trends で見てみよう。  2月15日以前は、どの言葉も人気度は低い。しかし、2月16日移行、その人気度は上がり、2月25日で爆発的に増えた。特にテレワークが、他の言葉の3倍ほどの人気度となり、ダントツに多い。  ニュースを見ていると、大企業が一斉に在宅勤務に切り換えたという話をよく見る。これは、大企業だから準備ができていたということだろう。2018年度に、東京都が都内企業1万社に対して、テレワークの導入状況について行ったアンケート調査結果がある(参照:TOKYOはたらくネット)。  このアンケートでは、企業規模を300人以上、299~100人、99~30人の3段階に分けてある。それぞれの企業規模で、テレワークを導入している比率は、41.2%、26.6%、19.2%になる。また、業種別の導入実績のトップ3は、情報通信業(40.5%)、金融業・保険業(28.8%)、サービス業(28.3%)となっている。  ただ、テレワーク制度がある場合の、制度適用者の比率となると、逆の傾向がある。小さい会社ほど、適用者の比率は高くなる(参照:リクルートワークス研究所リクルートワークス研究所)。これは、大きな会社になるほど、部署が増えて、多くの職種の人がいることと関係しているだろう。  Googleで「テレワーク」「リモートワーク」「在宅勤務」のそれぞれの言葉を検索した際の「関連する検索キーワード」には、それぞれ「職種」という言葉が入っている。こうした施策を実施するには、職種が重要な要素となっていることが分かる。

在宅勤務によるテレワークの難しさ

 在宅勤務によるテレワークは、企業側の環境と、労働者側の環境の2つが揃わなければ実施が難しい。企業側は、社内の重要な情報を社外から見られる環境を用意しておかなければならない。また、オフィスで高性能なパソコンを使っているのならば、社外でも同等の性能を利用できるようにしなければならない。また、遠隔でデータやコンピューターを扱うための、セキュリティを構築する必要もある。  こうした環境を企業側で用意すれば終わりというわけではない。労働者の自宅に高速なネットワークがなければ、環境を用意しても利用することは難しい。また、家族がいる中で仕事をした際に、セキュリティを保てるのかという問題もある。さらに自宅で働く際は、それまで昼間に不要だった冷暖房も必要になる。通信費、住宅費、光熱費などを社員が負担するならば、実質的な給料のダウンということになる。  完璧にテレワークの環境を作るには、企業側が機材から環境まで、全て用意して自宅で再現しなければならない。現実問題として、そうした投資ができる企業は少ないだろう。  テレワークの実態について見てみよう。前記のリクルートワークス研究所による調査では、テレワーク実施者は7.4%となっている。そのうちの16%(全体の1.2%)しか、会社のテレワーク制度を利用しいない。残りは、残業の仕事の持ち帰りなど、制度がない中、自宅で仕事をしている様子が窺える。  海外の研究では、テレワークは長時間労働になりやすいとされている。前記の2017年の研究ではその差は出ていないが、2019年の研究によると、働き方改革の影響か、職場に出て仕事をするほうが労働時間は減少している。また、テレワークが続かずやめている人も多いようだ。テレワークをしたからといって、必ずしも上手くいっていない様子が見てとれる。
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