ラブライブパネル批判アカウントが相次いで凍結。DMCAを悪用した嫌がらせか

ラブライブのパネル批判が原因か

 DMCAの悪用については、以前から指摘されていた。たとえば、気に入らない絵師を凍結させる手段として、同人界隈では既に知られていた。しかしここ2、3日で、森氏や筆者、赤木氏など、複数の人物が突然DMCAの虚偽申請でアカウントが凍結されたりロックされたりしているのはなぜなのか。直接的な理由ははっきりしている。そうした被害を受けた人物はすべて、数日前からTwitterを賑わせている、メディアミックスのアイドルプロジェクト『ラブライブ!サンシャイン!!』とJAなんすんが行っている「西浦みかん大使」のコラボキャンペーンのパネルを批判していた。  JAなんすんの管内である沼津市は、『ラブライブ!サンシャイン!!』の舞台であり、特産品のみかんはアニメでも登場する。したがって、同地のみかんの販売促進にこの作品とのコラボが行われることは自然であり、数年にわたって続けられていた。  問題は、2月に発表されたパネルにある。『ラブライブ!サンシャイン!!』のキャラクター高海千歌を描いたものだが、そのスカートに、股間が透けているようにも見えなくもない、不自然なY字の影がついていた。あるTwitterユーザーがその問題を指摘したのをきっかけに、一気に話題になった。  筆者は「宇崎ちゃん」献血ポスターについてのHBOの記事で、いわゆる「萌え絵」とコラボするのはよいが、公共団体がそれを行う場合は特に、女性性をアイキャッチとして使っているとみられる表現は避けるべきだ、と主張してきた。したがって、今回の『ラブライブ!サンシャイン!!』のパネルも当然、不自然にみえる股間の影については修正を加えるべきだと考えた。

パネル批判者に対する悪意

 ところが、こうした批判は「宇崎ちゃん」献血ポスターのときと同じく、「オタク」たちの反発を招いた。パネルの一部への批判が、作品それ自体への批判であると解釈され、明らかな性的なコードを否認し、けして問題はないと言い張る。要するに、「宇崎ちゃん」記事でも書いた、不誠実な「否認」が起こったのだ。  当然ながら、筆者は「ラブライバー」と呼ばれる同作品のファンが、すべて不誠実で悪意ある存在だと思っているわけではない。熱心なファンの中にも、そのパネルを含め『ラブライブ!』の公式が性的消費の方向に傾いていることを憂いている者も多くいたことを知っている。筆者もアニメについては好んで視聴しており、その作品傾向から、必ずしも性的消費に肯定的なファンばかりではないことも理解している。特に無印映画を鑑賞しに行ったとき、小学生ぐらいの女の子と母親の二人連れが多かったのが印象に残っている。  しかし、これもまた当然ながら、ファンの中にも極めて強い悪意を持つ人物もいるであろうし、またファンでなくとも、このパネル炎上に便乗して自分の悪意を達成しようとする人物もいてもおかしくはない。同パネルは、設置場所である「ららぽーと沼津」に苦情が入ったらしく、現在では撤去されているが、パネル批判者たちへの凍結は、いわば「表現の自由」への弾圧は、そのあたりから始まっている。これはけして偶然ではないだろう。
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Twitter社のチェックはどうなっているのだろうか
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