cba / PIXTA(ピクスタ)
COVID-19(新型コロナウイルス)が猛威を振るっており、日本人の感染者も増え続けて死者まで出ている。今後のウイルスの拡散も怖いが、私が同様に怖いと思っているのは、
SNSでのデマ情報の拡散だ。
例えば、「紅茶ポリフェノールがインフルエンザウィルスの感染力を99.9%無力化することが確認された」という情報があるが、実際に論文を読んでみると、紅茶ポリフェノールが効果を発揮するのは、紅茶とウイルスを「ほぼ」同時に服用した場合である。
実験では、ウイルスと紅茶エキスの混合液を吸引させており、細胞内に侵入してからは紅茶エキスの効果は発揮しないと記載されている。なので、もしこれを実行しようとすれば、ウイルスを吸引してしまったと自分で気づき、その直後に紅茶を飲む必要があるので、あまり
宣伝文句のような効果を期待するのは難しいのではないかと思われる。
このように、
SNS上には「事実かわからないけどもっともらしい情報」が溢れている。そのなかから正しい情報を選択する必要があるが、我々はウイルスの専門家ではないため、「正しい情報を見抜け!」「情報リテラシーを高めろ!」と言われても、前提知識がなければなかなか難しい。
だからこそ、私が思うのは人間が持つ「信じたい情報を信じる」という脳のクセを理解して、それは、
「信じるべき情報なのか」「信じたい情報なのか」判断をする必要があるのではないかと考える。
Twitterを使ったMITの研究によると、
デマ情報は真実よりも約2倍の量リツイートされるという研究結果がある。人の恐怖を煽ったり、新しい刺激のある情報は、その情報が真実かどうか、悪意か善意か関係なく拡散されてしまう。そして、
多くリツイートされた情報は「多くの人に支持されている情報」として、人間が反射的に認識してしまう。
これは、
人間の脳はその都度考えたりせず、省エネで情報や状況を判断できるようにする脳のクセ(バイアス)によるものだ。この機能は、情報の判断だけに限らず、物事の良い/悪い、安い/高いなど様々な人間の意思決定に無意識に影響を与えている。
そして、そのバイアスのことを知っておかなければ、あなたもコロナウイルスのデマ情報に惑わされてしまうかもしれない。