与党ブロックと野党ブロックの国家方針はまったく異なる
国政選挙になると、しばしば与野党の違いが分からない、争点が示されないと報じられますが、施政方針演説を見る限り、決してそのようなことはありません。むしろ、
自民党を中心とする与党ブロックと、立憲民主党を中心とする野党ブロックは、基本的な国家方針からして大きく違います。決して、個別具体の政策や細かい部分が違うだけではないのです。
与党ブロック:垂直統合型の従来の経済構造を守りつつ、高い経済成長を再び実現する。そのためには、個人よりも国家・全体を重視する国家方針とし、制約となっている憲法を改正する。
野党ブロック:雇用などの社会問題を解決し、水平分散型の経済構造に転換して、持続的な経済活力を得る。そのためには、憲法理念と同じく、国家・全体よりも個人を重視する国家方針とする。
こうした
与党ブロックと野党ブロックの国家方針の違いについては、筆者の新刊『政権交代が必要なのは、総理が嫌いだからじゃない-私たちが人口減少、経済成熟、気候変動に対応するために』(現代書館)で、様々なデータやファクトを用いて論じました。この論考をお読みになり、より詳しくお知りになりたい方は、本書をご覧いただければ幸いです。
そして、きたる総選挙では、与党ブロックと野党ブロックの国家方針の違いを踏まえ、求める国家像を有権者が慎重に考えて、投票することが必要です。そのためには、SNSを含めた様々な場で、有権者が公論を積み重ねることが大切になります。
誰もが考え、発言し、他者の意見を聞いて再び熟慮する。2020年の日本が、このような公論を深めることになれば、どのような選挙結果になっても、明るい日本を切り拓くことになるでしょう。
<文/田中信一郎>