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持ち込んだ椅子やシート、テント等備品類の置き去り行為
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椅子やシートの放置・場所取り行為
バンドを身近に感じられるステージ前方で楽しむもよし、壮大なロケーションを含めた景色を見ながら後方でのんびり楽しむもよし。ライブの楽しみ方は人それぞれだ。毎年、お気に入りのスポットから見るという観客も多いだろう。
しかし、人気バンドともなればステージ後方まで人で溢れることも珍しくない。そうした際は
自主的に椅子やシートを畳むのがマナーだ。また
アナウンスも行われるが、近年はそれを無視したまま居座る客が増えている。
さらに混雑する人混みのなか座り続けるだけでなく、椅子やシートで“自分の場所を確保”したまま、別な場所でライブを見ているのか、ご飯を食べに行っているのか、トイレに行っているのか……。
放置されたまま、当の本人がいないという状況も当たり前となっていた。
ステージ前方、そして通路はライブを見たり、移動する客でギュウギュウなのに、後方は
椅子やシートだけが佇む膨大な無人空間が広がる……。異様な景色で一目見るだけで迷惑だとわかりそうなものだが、残念ながら自主的な改善は見られなかった。
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禁止エリアでの椅子・シートの利用
状況によっては椅子やシートが使える場所でも、マナーを守らなければ大迷惑。しかし、それ以前に
そもそも禁止されているエリアで利用する客もいる。
特に迷惑なのが、
ステージ前方で椅子やシートに座ったまま次の出演者を待つ客。そして、テントなどの屋内ステージでそれらのアイテムを使う人々だ。
明確に禁止エリアが定められているのに、使う人が後を絶たないということ自体がおかしな話だが、現実にいるのだから驚いてしまう。
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持ち帰らないシート・椅子・テント・キャンプ備品等ゴミとなるもの
便利・軽量・安価で、手軽にアウトドアグッズが手に入る一方で、さまざまな弊害が起きるようになったのはこれまで紹介したとおり。その行き着く先は
客や主催者はおろか、自然環境にも害を与えるゴミ問題だ。
フェスの最終日や翌日に
大量のシートや椅子、キャリアーやテントまでが放置、散乱している様子はマナーや迷惑というより環境破壊だ。
リサイクル素材で作られたアウトドア用品が増え、
修理対応などのアフターサービスが充実しているだけに、消費者にも
長く愛着を持って、そしてエコに使うことが求められるはず。コンパクトで軽量なアイテムが流通しているのに反比例して、ゴミが増えているというのは完全にユーザーの意識の問題だ。
こうしたマナーをめぐっては、
新規客対古参客、
近年増えている外国人客対日本人客、
にわかファン対筋金入りのアウトドアファンといったように、
安易な二項対立が煽られがちだ。しかし、真に見つめ直すべきは会場に足を踏み入れる客一人一人のマナーだろう。
これまで直接的に禁止・注意をするよりも、
参加者の自主性や意識に訴えながら、マナーを保ってエコなフェスの名を誇ってきたフジロックフェスティバル。果たして今夏はどのような光景が見られるのか、ライブ以上にマナーが注目されないことを願いたい。
<取材・文・撮影/林泰人>
ライター・編集者。日本人の父、ポーランド人の母を持つ。日本語、英語、ポーランド語のトライリンガルで西武ライオンズファン