人を巻き込めるリーダーは、「5つの質問」を体で覚えている

頭で考えるより体で覚える

 事前に準備したり、下書きしたりしないことでよいことは、頭で考え過ぎないということだ。頭で考え過ぎることの弊害は、相手を巻き込む5つの質問の演習でよくみられる。 図表 <相手を巻き込む5質問> 1.やってみてどうでしたか? 2.うまくいったことは何ですか? 3.うまくいかなかったことは何ですか? 4.どのように改善したいですか? 5.サポートを得たいことは何ですか?  過去の演習参加者の演習結果をふまえると、上の表の順番に5つの質問を繰り出すと、巻き込み効果が最も高いことがわかっている。最大公約数的なモデルといえる。相手によって例外はある。  頭であれこれ考えて、この人にはどの順番がよいだろう、あの人にはどの順番がよいだろうと考え始めてしまい、いつまでたってもロープレができなかったり、現実の場面で話法が繰り出せなかったら、何の意味もない。  まずは、モデル話法をいつでも繰り出せるようにしておいて、それが出来るようになったら、状況やトピックスや相手に合わせた微修正を加えていくとよい。  特に2つ目の「うまくいったことは何ですか?」の質問は、相手のモチベーションを上げ、5つの質問に対する返答を引き出しやすくする効果がある。この位置でできるよう、頭ではなく体で瞬時に繰り出せるように、反復演習することがお勧めだ。

感想の次に成果を聞く

 質問:「うまくいったことは何ですか?」の質問の繰り出し方  「うまくいったことは何ですか?」の質問は、具体的にどのように繰り出せばよいのでしょうか?  回答:質問する順番が大事  「やってみてどうでしたか?」という質問で、ニュートラルに現状を質問し、答えてもらったあとは「うまくいったことは何ですか?」と、うまくいったことを聞きます。  上司としては、うまくいかなかったことが気にかかるものですが、相手はうまくいったことのほうが話しやすいので、まずはうまくいったことから聞きます。この順番がとても大事です。  以下の質問例のなかで、「そのなかで」「すばらしく取り組まれましたが」「苦労をされたと思いますが」という前置きが前の質問とのつなぎです。「うまくいったと思うこと」「達成感のあったこと」というように、相手に合わせて表現を変え、答えやすくします。 図表 <質問例> ・そのなかで、うまくいったことは何ですか? ・すばらしく取り組まれましたが、うまくいったと思うことは何ですか? ・苦労をされたと思いますが、そのなかでも達成感のあったことは何ですか? 【山口博[連載コラム・分解スキル・反復演習が人生を変える]第174回】
(やまぐち・ひろし) モチベーションファクター株式会社代表取締役。国内外企業の人材開発・人事部長歴任後、PwC/KPMGコンサルティング各ディレクターを経て、現職。近著に『チームを動かすファシリテーションのドリル』(扶桑社新書)、『クライアントを惹き付けるモチベーションファクター・トレーニング』(きんざい)、『99%の人が気づいていないビジネス力アップの基本100』(講談社+α新書)、『ビジネススキル急上昇日めくりドリル』(扶桑社)がある
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