どうしたら「上から目線の嫌な上司や先輩」を脱することができるか? 前置きひとつで印象は大違い

 トップダウンの指示・命令ではなく、相手を巻き込む5質問を駆使して相手を巻き込んでいく。しかし、相手を巻き込む5質問が大事だという説明を何度受けても、その記述を何度読んでも、聞いたり、読んだりしただけでは、実践の場面で繰り出せない。

理屈よりも行動で身につける

サポートのイメージ画像

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 相手を巻き込む5質問ではなく、指示・命令に終始してしまったり、途中から気づいて相手を巻き込む5質問に切り替えたりするケースが実に多い。しかし、これでは、相手を巻き込む5質問の効果は全く期待できない。最初に指示・命令をしてトップダウンのマネジメントを繰り出してしまっているからだ。 図表<相手を巻き込む5質問> 1.やってみてどうでしたか? 2.うまくいったことは何ですか? 3.うまくいかなかったことは何ですか? 4.どのように改善したいですか? 5.サポートを得たいことは何ですか?  こうした例は、相手を巻き込む5質問が大事だということを頭だけでわかっているケースで多発する。頭だけでわかっているので、実践の場面では、普段から染みついてしまっているトップダウンの指示・命令が出てしまうのだ。それもとっさのときに繰り出されるのは、普段している言動なのだからだ。  むしろ、頭でわかっている必要はない。5つの質問をスマホで自撮りしながらロープレし、ロープレするたびに録画を再生して自分で確認するということを何度か繰り返していくと、頭ではなく話法を繰り出すというという行動と話法で身につけることができる。そうなると、とっさのときでもトップダウンの指示・命令ではなく、相手を巻き込む5質問の方が先に言葉に出るようになる。  このように申し上げると、「それはそうかもしれないが、とっさの場面でも言葉に出るようにするには、長年の経験が必要なのではないか」という反応に接することがある。

上司としての立ち位置に不安

 しかし、実際には長年の経験は必要ない。2時間、集中的に反復演習すれば、ほとんどの人は相手を巻き込む5質問を繰り出せるようになる。そして、その後、1か月程度、常に指示・命令したくなる前に、相手を巻き込む5質問を繰り出すことを心がけて過ごしてもらう。すると、相当程度、スキルが定着する。  このようにして、スキルを定着してもらうわけだが、その過程のなかでよく受ける質問に、「相手を巻き込む5質問をするだけで、指示・命令をしなくてよいのか」というものがある。「相手を巻き込む5質問をして、部下や後輩の言うことを聞いて、しまいにはサポートを得たいことを聞いてサポートしてあげるとは、部下や後輩の言いなりになっているだけではないか」という意見だ。
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部下への指示・命令を効果的にするには
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