大学入試センターが共通テストの出題方針を発表。高校2年生が注意すべきこととは

今後、注意すべきこと

 今回、発表された内容では試験の情報が少ないのですが、このようなときは、多くの人が推測で、「共通テストはこのような問題が出る」といった予想合戦になる傾向にあるので注意が必要です。特に、「数学I・A」の追加された10分についてはいろいろな方がその理由を考えることでしょう。これについては記述式で出題しようとしていた問題をマーク式に直すということが予想されますが、確定情報ではありません。  ところで、推測情報が正しいものかわからないから、推測情報は全くよくないとまでしてしまうと、高校生に情報はほとんど与えることができなくなりますから、推測と断った上で現状から考えられることをこれまでの傾向なども踏まえ説明するのはかまわないと思います。  私も今回のこの記事の中で予測した部分もありますが、今後は、根拠がほとんどない極端な情報を振りかざし、高校生を不安にさせる塾・予備校の宣伝も出てくるでしょう。ただでさえ、振り回された今の高校2年生なのですから、文科省はこのような混乱が起こらないように、今年は特に丁寧な対応が望まれます。

共通テストを理解しているかどうかはここでわかることもある

 最後に、数学の場合は、「記述式以外の部分は試行調査と同じ」と言われる方も今後出てくると思いますが、実は少し違います。試行調査の段階では、「当てはまるものをすべて選べ」形式の問題(選択肢の中に正解がいくつあるかわからない問題)が出題されることになっていましたが、それは、昨年の7月ころに共通テストでは出さないということになりました。  ですので、もしも数学の問題で、試行調査だけを参考にして複数解答のある問題を出題してある書籍、模試などがあれば研究不足のものであるのでご注意ください。なお、理科、地歴などでは「連動型の問題」(前問の答によって後の問いの答が変わる問題)は引き続き出題される見込みです。  なお、過去の事例から、試行調査のときは急いで作ったと思われる雑な問題が出題されるものの、本番の試験ではきちんと完成度の高いものを用意して来ていますので、試行調査の問題の質と量に縛られるとよくないことになる可能性がありますのでご注意ください。 <文/清史弘>
せいふみひろ●Twitter ID:@f_sei。数学教育研究所代表取締役・認定NPO法人数理の翼顧問・予備校講師・作曲家。小学校、中学校、高校、大学、塾、予備校で教壇に立った経験をもつ数学教育の研究者。著書は30冊以上に及ぶ受験参考書と数学小説「数学の幸せ物語(前編・後編)」(現代数学社) 、数学雑誌「数学の翼」(数学教育研究所) 等。 
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