令和3年度から実施予定の大学入学共通テスト(以下、共通テスト)は、昨年末の12月17日に国語と数学に課せられる予定の「記述式」の出題が白紙となり、今後どのように行われるのかが注目されてきました。
仕切り直しとなり、1か月の再検討期間を経て、2020年1月29日の午後に
大学入試センターのホームページで、「
令和3年度大学入学者選抜に係る大学入学共通テスト出題教科・科目の出題方法等」および「
令和3年度大学入学者選抜に係る大学入学共通テスト問題作成方針」が発表されました。以前に、共通テストに関する同じものと比較して変更された点は次の点です。
・記述式に関する記載がそのまま削除された(他の部分はそのまま)
・共通テストの成績提供日が1週間早くなった(私立大は2月2日から、国立大は2月4日から)
なお、詳細は大学入試センターのホームページで確認できますが、例えば下の画像のように変化しました。(上が改訂前、下が改訂後です。)※一部配信先では画像が表示されない場合もありますのでその場合はHBOL本体サイトで御覧ください。
改定前
改定後
ここからもわかるように、新しく発表されたものは、共通テストの実施要項から記述式の部分を除いたものにほぼなっております。そもそもセンター試験から共通テストへの変更点は予定されていた記述式の問題の出題だけではありませんから、記述式以外の変更点は維持されると考えた方がよいでしょう。
具体的には、英語は、共通テストとして予定されていた通り、リーディング100点、リスニング100点の配点で出題されます。国語は、マーク式のみの出題で、近代以降の文章が大問2題で100点、古文が大問1題で50点、漢文が大問1題で50点となりこれまでのセンター試験と同じですが、記述で出題されるはずの内容をどのようにマークの中に取り込むかは説明がありません。
さて、数学の試験に関して、これまでに発表された内容と今回発表された内容を比較しましょう。次のようになります。
【改訂前】
「数学I」「数学I・A」は記述式が15点分出題されて、試験時間は70分。
「数学II」「数学II・B」は記述式が出題されなくて、試験時間は60分。
【改訂後(今回発表されたもの)】
「数学I」「数学I・A」は記述式が出題されなくて、試験時間は70分。
「数学II」「数学II・B」は記述式が出題されなくて、試験時間は60分。
ここで、おかしな点は「数学I」「数学I・数学A」(以下、「数学I・A」)の
試験時間が70分のままであることです。記述式の問題がなくなれば、表面上は「数学II」「数学II・数学B」(以下、「数学II・B」)と同じ形式になりますが、「数学II・B」の方は60分のままです。「数学I・A」が60分から70分に変更されたときには、増えた10分は記述式があるから(それ以外は「数学II・B」と同じなので)と考えられていましたが、記述式がなくなっても70分のままなのでなぜかと思う人も少なくないはずです。
もちろん、「数学I・A」と「数学II・B」の試験が同じ試験時間でなければならないことはありません。しかし、センター試験のときは解く時間が短いために、要領、テクニックなどで対応しようとする動き(それを望む人、勧める人の存在)がありましたので、きちんとした学力を測るのであれば、「数学II・B」の方も70分にするのも一つの方法です。
それ以外にも、「余分な情報を含み、そこから必要な情報を抽出する長文型の問題」「太郎と花子の会話を読んで、目的を理解し結論を引き出す問題」「原理そのものを単刀直入に(計算をさせずに)答える問題」なども共通テストの特徴ですのでそれは維持されるものと考えられます。