兼業トレードで2億超えを果たした男、弐億貯男氏。彼はいかにして銘柄を選んでいるのか?
前回、その2億までの道のりを振り返った兼業トレーダー・弐億貯男氏。目標達成まで17年間にわたり元本を増やし続けた、堅実・着実な手法を聞いてみた。今回はその銘柄選びのポイントについて焦点を当ててみた。
「“トイレ・トレーダー”だった頃、短期的な値動きに惑わされて、後に『テンバガー(10倍株)』となる株を手放したり苦い経験もしました。それで、中長期投資のスタイルに転向したんです」
艱難汝を玉にす。自らの理想のスタイルを体得した弐億氏は、その後、’12 年に購入したチャーム・ケア・コーポレーションが13倍以上に値上がりし売り抜けている。中長期投資は、時間軸が長い分、板にべったり張り付く短期売買より労力が少ない。兼業トレーダーの弐億氏に打ってつけのスタイルだった。
短期で利ザヤを狙わないので、重要になるのが銘柄選びだ。
「PER10倍ほどと割安で、直近2~3年増収増益のトレンドが続いている銘柄がいい。加えて、今期業績見通しや中期経営計画に2~3年後の業績が記してあれば、企業の未来図が想像しやすいですね。表やグラフが載っている決算説明資料で、視覚的に確認するのも大事。業績見通しは性善説の立場から信用はするけれど、決算短信は企業に都合よく書かれていることが多いので、文字のコメントと表やグラフの数字が一致していないこともある。必ず両方を見るようにしてます」
次に、弐億氏が目安とするのは、ストックビジネス(※例えば会員ビジネスのように顧客を抱え込むことで持続的にサービスを提供し、継続的な収益を上げることができるビジネスモデルのこと)の銘柄だ。
「ビジネスモデルがストックビジネスの企業に狙いを定めているのは、外食産業や小売業は月次売上高を開示していて、既存店売り上げ前月比90%台でも『売り上げ減だから』という理由だけで株価が急落することがあり、一喜一憂するのが嫌だから。毎月の売り上げを気にしても、そもそもIR情報を信用していいのかさえわからないですし……。だから、ある程度売り上げのベースが確定していて、新規顧客が増えれば売り上げが上積みされていくストックビジネスの企業のほうが、継続的な増収増益も見込め、安定感があり株価の急変も少ないと考えています」
ただ、業界・セクターだけでストックビジネスと判断するのは禁物だ。
「業種でいえば、不動産でも右から左へ売買してしまう企業もあるので、必ずしもストックビジネスとは言えない。今、保有している銘柄でいえば、中古車ローンのプレミアグループ(7199)。ローンの売り上げを分割計上しているので、ストックビジネスです。セクターにはこだわってないんです」
そして、銘柄スクリーニングの目安の3つめが、配当性向だ。
「配当性向30%以上を公約している銘柄が目安ですね。配当が約束されていれば、投資利回りの下支えになるので安心感に繋がります」
弐億氏の銘柄スクリーニングの基本戦略からは、彼の投資哲学が窺える。
「テクニカルではなく、ファンダメンタルズで企業の将来性を考え、事業拡大の可能性がある銘柄に投資してます。単純にPERだけでは測れない成長率や安定性、いわば“未来のPER”を見ることが大事なのです」
<弐億貯男氏が推奨する「割安成長株」のスクリーニング基本戦略>
1 割安で成長が見込める
PER10倍 前後で直近2~3年「増収・増益」
2 安定した売り上げ・利益見込める
「ストックビジネス」を手がけている
3 株価が増配に下支えされて上昇が見込める
配当性向30%以上を公約している
ファンダメンタルズで企業の成長率を考え、“未来のPER”を重視!
業界セクターを問わず、ストックビジネスに着目!
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