今そこにある「ネット終活」。死後のデータをどうするか? 3大webサービスの事例から考える

Facebook 追悼アカウント

 SNS の雄である Facebook にも、死後にアカウントをどうするかといった設定がある。アプリケーション的な側面が強い Google と違い、人生の記録的な意味合いが強い Facebook では、死後のアカウントに対する取り扱いも違う。  Facebook には、追悼アカウントという機能がある。利用者が亡くなったあとで、家族や友達が思い出をシェアするための機能だ。  Facebook では自身の死後の設定として、「管理人を指名して追悼アカウントの管理を任せるか」「アカウントを完全に削除するか」のいずれかを選べる(参照:Facebook ヘルプセンター)。そして、追悼アカウントへの移行は、家族や友人からの連絡でおこなうようになっている(参照:Facebook ヘルプセンター)。  個人の責任で全て完結する Google とは違い、人間関係を重視した方式だと言える。また二社では、データに対するアプローチも違う。特定の個人に情報を公開する Google と違い、Facebook では家族や友達が故人を懐かしむ用途になっている。  追悼アカウントについても触れておこう。追悼アカウントになったアカウントは、名前の横に「追悼」と表示される。そして「知り合いかも」の提案や、広告、誕生日のお知らせなどに、その人のアカウントが表示されなくなる。ひっそりと家族や友達だけが訪れるアカウントになるわけだ。  また、追悼アカウント管理人は、故人のデータを書き換えることはできなくなっている。自分のアカウントとは違い、できることは大幅に制限されている(参照:Facebook ヘルプセンター)。人によっては、故人の情報をどんどん書き換えて貶めようとする人もいるだろう。そのため適切な処置だと思われる。

Twitter の場合

 日本で利用者が多い Twitter についても触れておく。Twitter は、Google や Facebook ほど、死後のアカウントの扱いについて手順が整備されていない。ヘルプの「亡くなられた利用者のアカウントについてのご連絡方法」というページを見ると、「権限のある遺産管理人または故人の家族とともにアカウントを削除する」と記載されている。  アカウントの削除には、リクエストを送信する人の身分証明書のコピーと、故人の死亡証明書のコピーが必要になる。アナログな手法で、死者の証明と、申請者との関係性の証明をしなければならない。  また Twitter は、2019年の11月に、6ヶ月ログインなしの休眠アカウントを削除すると発表している(参照:BBCニュース)。Twitter 自身の方針としては、利用されていないアカウントを削除したいと考えている。運営コストや、不正利用の危険性を考えてのことだろう。しかし、そうした方針とは別に、亡くなったユーザーのアカウントを追悼する方法も開発しているそうだ(参照:TechCrunch Japan)。  アカウントの保護は、追悼という意味だけでなく、文脈の維持の面でも重要だ。アカウントとともにツイートが削除されてしまうと、会話や議論が虫食い状態になり、何が話されていたのか分からなくなる。Twitter を議論の場にしたいという同社の方針を考えると、安易なアカウントの削除は、その方針と真逆の結果を招くと思われる。
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情報の蓄積か抹消か。生前から考える必要
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