イージス・アショア配備候補地、秋田は見直しでも山口は見直さず!?

防衛官僚は「丁寧に説明をしたい」と繰り返すだけ

 直後の囲み取材で、筆者は防衛官僚に質問した。 ――住民の賛否を問うアンケート調査などを行う考えはないのでしょうか。 防衛官僚:私どもとしては、住民説明会の場でしっかりと丁寧に具体的に説明をしたいと考えてます。 ――アンケート調査はしないのですか。理解が得られたのかどうかを知るために、何らかの調査をしないとわからないではないですか。 防衛官僚:私どもとしては、住民説明会の場で質問等に対して丁寧に説明をさせていただきます。 ――防衛省が勝手に「(住民の)理解が得られた」判断する恐れがあるじゃないですか。客観的なアンケート調査はしないのでしょうか。 防衛官僚:私どもとしては、住民説明会の場などでしっかりと説明をしたいというふうに考えています。  防衛官僚は、木で鼻をくくったような答えを繰り返すだけだった。

秋田が候補地から外れれれば、「ペア」である山口も外れるのでは!?

 山口県が、秋田県とは違う差別的対応を受けていることへの疑問も相次いだ。『萩新聞』の記者が「別冊の資料で『秋田県付近と山口県付近、新屋とむつみが最も適切な組み合わせと考えている』と、組み合わせを強調していると思うが、その中でむつみ演習場のみを配備に適当と発表された理屈を説明してほしい」と質問。すると、防衛官僚は「秋田のほうは再調査の時間を有しているが、山口は再調査が終わったから説明にあがらせていただいた」と答えた。  納得がいかない『萩新聞』記者が「あくまで『組み合わせ』『ペア』で日本全体を守るということで、秋田が動けば、当然、むつみも動く可能性もあるし、秋田が決まっていない中でなぜ、むつみだけ先行をしてOKが出せたのかを説明してほしい」と食い下がった。それでも防衛官僚は、以下のような紋切り型の回答をするだけだった。 「秋田についてはまさに再調査を行っているところで、その結果について今、言及することは差し控えたい。むつみについては本日のご説明でお話をさせていただきましたが、約1㎢以上の面積があって、なるべく平坦な敷地であって、そして日本海側に位置しているという条件を満足する国有地がむつみ以外には存在しなかった。ということで、今回、配備候補地の説明をしている」  ここで筆者も「秋田から山形にずれれば、その『組み合わせ』は山口からずれるのではないでしょうか? (秋田より南の)山形が秋田の候補地になっているので、九州が山口の候補地になっても不思議ではない。なぜ候補地にならないのですか? 山口への差別じゃないですか。安倍総理は納得しているのでしょうか」と畳み掛けた。しかし冒頭で紹介した通り、防衛官僚は無言のまま囲み取材を打ち切ったのだ。
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面積要件緩和をしない理由すら語らぬ防衛官僚
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