12月21日に起こった事件現場はこのエカマイ通りの小さな小路。表通りでさえ深夜は人も車も少ない
日本でも
報道されたが、2019年12月21日未明、タイの首都バンコクで37歳の日本人男性が2人組の強盗に襲われ、刃物で後頭部などを切りつけられるという重傷を負った。男性はこれにより2万バーツ(約7万円)が入った財布を奪われ、搬送された病院では集中治療室に入った。
その後、同月30日にタイ警察は
容疑者2人を逮捕した。23歳と18歳のタイ人男性だった。彼らはほかにも強盗をしたことを供述していて、警察は余罪を調べている。
不幸中の幸いで、男性は命に別状はなかったようだ。襲われたのが深夜であることと、人通りの少ない小路をひとりで歩いていたことなどもあり、当然ながら強盗が一番悪いのだが、外国、それも東南アジアの一角をひとり歩いていた被害者にも注意が足りなかったのではないか、という声もあるようだ。
しかし、タイ在住者からすると果たしてそうだったのか、という気もする。発生場所が日本人居住者が多い地域で、もしかしたら襲われたのは自分だったかもしれないと思えるような事件だったからだ。
タイは治安が悪い。10万人あたりでは殺人事件の発生件数が日本の10倍超にもなる。しかし、数万人もいる長期滞在日本人のほとんどが身の危険を感じたことがないのではないか。事件などはよほど辺鄙なところに行かない限り遭遇しないという感覚で誰もが過ごしていたはずだ。
だから、この被害者も深夜にひとりで歩いていたのだろう。言われてみれば、在住約20年の筆者も深夜に平気でひとりで歩くようになっていたし、実際にこの事件が起こった地域をひとりで夜中3時前後に歩いたこともあった。
事件当日の昼間、被害者の妻が自身のブログで事件の概要を紹介して注意喚起をし、また日本でも報道されることになった。SNSの書き込みでは、報道は日本の方が先で、タイ警察の発表があとだったという話もある。おそらくタイ警察にとっては数ある強盗事件のひとつと判断した可能性もある。だとすれば、なおさらタイは治安の悪い国だと実感せざるを得ない。
今回の事件は多くの日本人が身近に感じ、改めて自身の行動を反省したことだろう。