保守論壇誌『月刊日本』が選ぶ、2019年5つの「憂国」ニュース

月刊日本2020年1月号 本サイトと提携関係にある保守論壇誌『月刊日本』。真正保守のスタンスを維持しつつも、偏狭なナショナリズムや排外主義、民主主義の破壊とは一線を画す同誌編集部に、2019年の5大ニュースをピックアップしてもらった。昨今跋扈する「エセ保守」とは大きく異る視点となっている。

アジアの若者を搾取することは許されない

◆1.「おことば」を修正させた安倍政権<伊藤智永氏>  2019年のニュースとして真っ先にあげられるのは、200年ぶりに生前退位が行われ、新天皇が誕生したことである。  事の発端は、2016年8月に天皇陛下(現・上皇陛下)が「象徴としてのお務めについての天皇陛下のおことば」を発し、退位の意向をにじませたことである。「おことば」が世論の圧倒的な支持を得た結果、生前退位が実現することとなった。  毎日新聞記者の伊藤智永氏によると、実は安倍総理は事前に「おことば」に目を通し、日本会議の重鎮である衛藤晟一首相補佐官(当時)に「おことば」を添削させていたという。  安倍総理がいかに天皇陛下を軽視しているかを端的にあらわす出来事だった。 ◆2.1か月の給料は「マイナス2万円」……。ある技能実習生の給与明細の衝撃  4月に改正入管法が施行されたことで、今後5年間で最大34万人の外国人労働者が新たにやってくることとなった。しかし、日本ではすでに多くの外国人が働いており、その中で深刻な問題が生じている。  本誌が取材したベトナム人技能実習生は、朝8時から夜12時まで仕事をさせられ、睡眠時間はわずか1〜2時間、それにもかかわらず日給は1500円以下だった。そのため、食費すら事欠き、畑の道端に捨てられている野菜を拾って食べたこともあったという。  アジアの若者たちを搾取することなど決して許されることではない。日本政府は一刻も早く外国人労働者のあり方を見直すべきだ。

山本太郎の真価が問われる次の衆院選

◆3.サンダース現象と山本太郎現象は何が違うのか? 社会を変えるために本当に必要なもの   7月に行われた参議院選挙で、山本太郎氏率いるれいわ新選組は2議席を獲得した。これにより、「山本太郎現象」がにわかに注目されるようになった。  山本氏はしばしばアメリカのバーニー・サンダースと比較されるが、経済思想家の斎藤幸平氏によれば、両者は大きく異なるという。  サンダースの場合は、サンダースを支える社会運動が大きな力を持っており、サンダースはあくまで一つの駒にすぎない。そのため、仮にサンダースがいなくなったとしても、特に影響はない。他方、れいわ新選組は山本氏個人のカリスマ性に依存しているので、山本氏がいなくなれば、その勢いは一気に萎んでしまうだろう。これが斎藤氏の見立てである。  来たる衆院選挙で、れいわ新選組の真価が問われることになるだろう。
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煽られる分断、総理の走狗として動く官僚
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月刊日本2020年1月号

【特集1】安倍長期政権の終わり方
【特集2】日米安保条約の正体
【特集3】日本の食と農が崩壊する
【提起】韓国人被爆者の存在を忘れるな