国会パブリックビューイングから振り返る今年の国会の論点

共通テストへの民間英語検定試験の導入

 11月4日の国会パブリックビューイングは、共通テストに導入が予定されていた民間英語検定試験の問題を取り上げた。 ◆【街頭上映】「身の丈」発言が可視化したもの~共通テスト論点整理~(解説:上西充子・田中真美)(新宿西口地下広場)(2019年11月4日)  国立大学の一次試験であるセンター入試は、2021年1月の受験から「共通テスト」に切り替えることが予定されている。この「共通テスト」に盛り込まれることが予定されていたのが、民間英語検定試験だ。「読む」「聞く」「話す」「書く」の「4技能」を問うために必要だとの理屈づけだったが、公平・公正な受験が保障されないことが専門家により以前から指摘されており、高校教員や高校生などからも反対の声があがっていた。  10月24日のテレビ番組で萩生田光一文部科学大臣が「身の丈に合わせて勝負してもらえれば」と発言したことから、経済的・地理的格差を容認するのかとの声が高まり、問題が認知されるようになっていたが、萩生田大臣はその後も、改善策を講じた上での実施という姿勢を崩していなかった。  しかし、10月25日に菅原一秀経済産業大臣(当時)が週刊文春の報道による有権者買収疑惑で辞任。その3日後の10月28日に萩生田大臣が「身の丈」発言を謝罪。さらに10月31日には河井克行法務大臣が妻の陣営の公職選挙法違反疑惑で辞任という情勢の中で、11月1日になってようやく、萩生田大臣が英語民間試験の見送りを発表した。受験のための「共通ID」の申し込みの開始日になっての見送り発表という、あまりにも遅れた判断だった。  11月4日の国会パブリックビューイングは、英語民間試験の導入が「見送り」にはなったものの、今後1年かけて抜本的な見直しを行い、2024年度に新制度の実施を目指すという発表を受けて行ったものだ。この民間英語検定試験の問題を国会で継続的に取り上げてきた城井崇議員の質疑を中心に紹介して論点を整理した。ゲスト解説には、文部科学省前で継続的に抗議行動を主催し、専門家や高校関係者、高校生らの声を路上に反映させてきた元高校教員の田中真美氏を迎えた。  この時点では、国語と数学の記述式については、文部科学省は導入するという方針を変えていなかったが、その後、50万人分の記述式の採点を短期間に公平・公正に行う体制を整えることは不可能だとの批判の高まりを受けて、12月17日には萩生田大臣が記述式についても見送りを発表した。こちらは期限を切った見送りではないと語られており、事実上の白紙撤回と思われる。  その後、12月24日には民間英語検定試験のあり方を非公開で検討していた2018~2019年の有識者会議の議事録がようやく公開されたが、そこでは委員から高額な受験料の問題や会場確保の見通しが立たないことなど、多くの問題点が指摘されていた。 ●「英語民間試験、会場確保「支援は無理」 議事録で文科省」(朝日新聞デジタル、2019年12月24日)  それらの委員の声に向き合わないままに導入が強行されようとしていたことが明らかになった今、意思決定プロセスの不適切さが、改めて問われなければならない

「桜を見る会」

 国会パブリックビューイングが今年最後に取り組んだテーマは、総理大臣主催の「桜を見る会」とその前日に例年行われている安倍晋三後援会主催の前夜祭をめぐる問題だ。田村智子議員、吉川沙織議員、大門実紀史議員の注目質疑を字幕つきで公開したのちに、12月1日に新宿西口地下広場で田村議員の4回の質疑を街頭上映し、12月8日には同じく新宿西口地下広場で田村議員の11月8日の質疑と大門議員の11月29日の質疑を街頭上映した。  田村議員の11月8日の質疑は、参議院予算委員会のもので、この臨時国会で「桜を見る会」の問題が初めて深く取り上げられた質疑であり、また、安倍首相が委員会質疑の中でこの問題について答弁に立った唯一の質疑だった。 「招待者の取りまとめ等には関与していない」と安倍首相は答弁したが、安倍事務所が「桜を見る会」への参加希望者を募っていたことが田村議員によって明らかにされ、前夜祭とセットで後援会関係者をお招きする場として「桜を見る会」が利用されていた実態が浮き彫りになった。 ●<30分質疑全体文字起こし> 「#桜を見る会」問題質疑 田村智子議員 2019年11月8日参議院予算委員会  大門議員が11月29日の質疑で追及していたのは、「桜を見る会」の招待状が2015年にマルチ商法を行うジャパンライフの山口会長(当時)に送られており、それが同社の信用を高めることに利用されていたという問題だ。その招待状が首相の招待枠であったことがほぼ確実であること、そして消費者庁がジャパンライフの被害状況を把握しながら適切な対処を取らず、2015年の招待状送付に至り、さらに被害を拡大させたことが指摘された。 ●<15分質疑全体文字起こし>ジャパンライフの荒稼ぎに利用されていた首相枠による「桜を見る会」招待状 大門実紀史議員 2019年11月29日  このジャパンライフにわたった「桜を見る会」の招待状には「60」の番号が付されていた。それが安倍首相の招待枠であったことを何としても認めないまいと、名簿は破棄した、電子データは復元しない、当時の担当者には確認しないなどと、野党の追及に対するあからさまな隠ぺいが、国会で、野党合同ヒアリングで、そして菅官房長官の記者会見で繰り返されている。  12月17日の国会パブリックビューイングでは、11月8日の田村議員の質疑と11月29日の大門議員の質疑を街頭上映したうえで、野党合同ヒアリングに参加している石垣のりこ議員とのライブトークを行った。この日の街頭上映の様子は、冒頭に紹介した12月21日の朝日新聞夕刊1面トップ記事「国会を見る会 街角で」に写真で紹介された。 ●【街頭上映】「桜を見る会」ライブトーク:野党合同ヒアリングとは(石垣のりこ議員・上西充子)(新宿西口地下)(2019年12月17日)  ライブトークでは、原口一博議員による第8回野党合同ヒアリング(11月29日)の冒頭あいさつの場面と、名簿の電子データの復元は不可能であるかのような内閣府側の説明に対し、石垣議員がRFP(提案依頼書)は出せるはずだから出していただきたいと求め、内閣府の酒井元洋総務課長が「持ち帰らせていただきます」と繰り返した場面(下記の映像の31分34秒ごろから)を映像で確認した上で、野党合同ヒアリングの位置づけや、そこで行われているやり取りの様子、「桜を見る会」追及本部における野党の連携の状況などを石垣議員に伺った。 ●第11回 総理主催「桜を見る会」追及本部 野党合同ヒアリング(2019年12月4日)  さらに12月24日の国会パブリックビューイングでは、田村智子議員の11月8日の質疑を6つのパートに分けてスライドを使った解説を加えつつ上映した。その後に明らかになったことについても適宜、情報を補足した。上映後、田村議員本人をゲストに迎えてこの質疑を振り返っていただくと共に、改めてこの「桜を見る会」の問題とは何かを語っていただいた。 ◆【田村智子議員ゲスト出演・緊急街頭上映】「桜を見る会」ビフォー・アフター(解説:上西充子・田村智子)(新宿西口地下)(2019年12月24日)  この日は80人ほどが集まった。当日の様子は12月25日のテレビ朝日「羽鳥慎一モーニングショー」の「ショーアップ」で取り上げられ、国会や政治に対する国民の関心を高める効果的な手法として紹介された。
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