93匹の猫を飼育し、多頭飼育崩壊を起こしてしまった
多頭飼育崩壊という言葉を聞いたことがあるでしょうか。ペットの猫に不妊手術や去勢手術を施さなかったばかりに、どんどん子猫が増えてしまい、飼育ができなくなることを言います。
猫を保護する活動を続ける
「たんぽぽの里」の石丸雅代代表から「神奈川県で93匹の猫を飼い、多頭飼育崩壊してしまった現場がある」と聞いた筆者は、早速現場に向かうことにしました。
神奈川県のとある住宅街にその家はありました。一見すると何の変哲もない古びた一軒家なのですが……。
扉を開けるとそこには異様な光景が広がっていました。猫の糞尿が何十センチもの厚さになり、床を覆い尽くしているのです。ゴミも散乱しています。ここで飼育されていた猫の中には、
ノミがたかって貧血になってしまった猫もいたそうです。
筆者の足元は全て猫の糞尿で覆われています。
とても生活ができるような状況ではありませんが、猫の飼い主だった50代の女性は数か月前までここに住んでいたといいます。飼い主のご家族が「ホームレスの人の方が清潔な生活をしているのではないでしょうか」と話していたのが印象に残りました。
なぜこのようなことになってしまったのでしょう。飼い主の女性は、元々猫が好きで、一人暮らしを始めてから猫の飼育を開始。不妊・去勢手術をしなかったことで、頭数が増えてしまったようです。
次第に匂いや鳴き声が迷惑だと近隣から苦情が入るようになり、神奈川県内の動物愛護センターがご家族に連絡を入れたのが去年のことです。ご家族は、行政と連携し、弁護士や精神科医にも相談。今年の秋には、飼い主の女性を病院に連れていくことを決意します。現在は、病院に入院しており、飼育されていた猫は無事に保護されました。