麻薬潜水艦、計9000km航海の報酬は10万ドル。しかし、トラブルで空気も食料も水も危機的状況になっていた
1,2)スペイン北西部のガリシア地方の沖合で3000kgのコカインを積んだ潜水艦が乗務員3名によって証拠隠蔽の為に沈められ、その後当局によって引き揚げられた事件。
逮捕された3人の乗務員は警察の尋問には沈黙を守っているが、刑務所内で他の囚人や刑務官には折々経緯を話していた内容が警察に伝えられ、話題になっている。
乗務員はガリシア地方のビゴ市出身の航海士の資格をもっているアグスティン・アルバレス(29)と二人のエクアドル出身の船員であった。最初にエクアドル人の二人が逮捕され、アルバレスは治安警察に逮捕される前に逃亡したが4日後に捕まった。
アルバレスは10月25日にブラジルに飛んだ。目的は全長20メートルの潜水艦に3000キロのコカインを積んで南米からヨーロッパまで大西洋を横断するためであった。
コロンビアの麻薬組織がアルバレスを選ぶ前に同じくガリシア出身の航海士の資格を持っている別の人物に決まっていたそうだ。しかし、その人物は潜水艦が長距離の航海に必要な条件を備えていないとして辞退したという。そのあとアルバレスに白羽の矢が当たったのである。アルバレスはこれまで麻薬の前科がないというのが麻薬組織にとって人選の重要な要素になっているという。
まだ解明されていないのはこの潜水艦がスリナムかガイアナのどちらで生産されたのかということ。3000キロのアマゾン川の途中で一旦陸に上げられて陸送したのではないかという疑問。というのは船首に吊り上げたような傷があるからである。もう一つ疑問は航海の途中で援助船が一時同行したのではないかという疑いである。これらの疑問も彼らの口から徐々に明らかにされていくはずである。
何れにせよ、現地に赴いたアルバレスはアマゾン川で簡単な航海の為の訓練を受けた。報酬10万ドル(1080万円)は前金で受け取った。コロンビアの都市レティシアからブラジルのマカパーまでのアマゾン川3000kmの航海と、そこから大西洋を横断してガリシア地方まで6000kmの航海を遂行するためであった。
長距離の航海のために、2000馬力のエンジンに2万リットルの燃料を積んだ。潜水艦の半分は燃料タンクで残り半分に3000キロのコカインが152束になって積まれ、その上に簡易ベッドが2つあった。潜水艦といっても水深2メートルまでしか潜ることができず潜水艇といった感じだ。それでも胴体は7センチの厚みの繊維強化樹脂でできたものだ。それで軍艦のレーダーに発見されずにガリシアの近くまで到着できた。
しかし、その航海は死と隣り合わせとも言える危険なものだった……。
当サイトでも何度か報じてる(*潜水艦密輸、乗組員の報酬は10万ドル
燃料とコカインで一杯だった潜水艦
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