韓国、出生率0人台の衝撃。その背景にあるものとは?

ソウルの街並み

日本以上の少子化が襲っている韓国社会。
写真/topic_w5 / PIXTA(ピクスタ)

世界で初めて出生率1.0以下に突入した韓国

 日本における出生率の低下が問題されて久しい。  人口を維持するための合計特殊出生率が2.07~2.08とされているなか、厚生労働省が発表した2017年の出生率は1.43。2016年に続き2年連続で出生数は100万人を切った。  その理由として挙げられるのが、晩婚化による高齢出産の増加や、経済状況を鑑みての出産の抑制。社会生活の価値が多様化しているなか、「結婚=出産」という固定概念が過去の遺物と化した状況も出生率の低下に影響している。  しかしこの少子化の現状が、日本よりも数倍深刻なのが韓国だ。  11月29日、韓国の統計庁の人口動向調査結果によれば、韓国における出生率は、世界で初めて1.0(合計特殊出生率0.98)を下回ったからだ。

韓国社会にも根強く残る女性差別

 韓国・中央日報の記事によれば、昨年の三半期(1/4年)の出生数は、前年を6687人下回る7万3793人となっており、このままだと、年間30万人を下回る数値となっている。  統計庁長のカン氏によれば「出産と結婚をしないという傾向が加速度的に進行している」とし危機感を募らせている。  韓国・ハンギョレ新聞の調査によれば、韓国の若者へのアンケートの結果、「結婚する気がある」と答えたのは、男性38%、女性30%であり、更に「子どもを産む計画がある」と答えたのは、男性34%、女性21%となっている。  この背景には、2016年、女性嫌悪を動機として江南駅で発生した無差別殺人事件に代表される女性嫌悪犯罪が社会に蔓延し、それに反発する形で「#Metoo運動」が活性化したことが挙げられている。そこに端を発する、韓国社会におけるフェミニズム運動が、韓国の20代女性に圧倒的な支持を得た。  同新聞が100人の青年に会って聞いた結果によれば、100人中80人は「韓国社会では男女が平等ではない」と答えており、女性50人のうち45人は、不平等を強く実感しているという。  話は脱線するが、韓国で大ベストセラーとなり、日本でも翻訳出版されている「82年生、キム・ジヨン」のヒットは、このような社会背景があってのことだ。 「母のように生きたくはない。父と母は同じ夢を追う過程で出会い結婚したのに、母だけが、結婚したことを理由に夢を諦めざるを得なかった。だから母のように生きたくない。父のように生きたい」 「韓国では、結婚したら女性だけが死ぬまで奴隷のような生活を強いられるどう考えても(結婚に)良いところがない。結婚した途端に会社を辞めなくてはいけない。国が出生率を高めたかったら、そこを変えなくちゃいけない」  韓国の若者たちの声は深刻だ。  しかし、韓国の出生率が0人台を叩き出したのには、より衝撃的な背景がある。
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80~90年代にあった「男児至上主義」の負の遺産
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