タイは全体的に西野監督への評価はいまだ好意的で、タイ・サッカーファンはこれからの予選の行方を温かく見守っているところだ。
順風満帆とは言えないまでも、タイ・サッカー協会の関係者に話を聞いても、
「西野監督には期待を寄せています。タイのサッカーファン、それからメディアからも監督は大好評ですよ」という。
実際、11月14日にマレーシアで行われたワールドカップ予選では逆転負けを喫し、その直後に一部批判的なネット記事もあるにはあったが、ネットで検索してみてもほとんどが好意的なものだ。
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たとえば、タイのネット掲示板で最大とされる「パンティップ」というサイトでは『今回の試合を見て、西野はタイのサッカー選手をよく知らないと感じた』といったタイトルで投稿があった。
投稿者は熱烈な代表ファンで、西野監督の采配に不満があったようだが、
「西野監督もこの試合でタイ人選手、アジア人選手の可能性を知ったんじゃないかな。これからきっとよくなると思うんだ」
として、結局、西野監督への期待で投稿を締めくくっている。この投稿に対する意見なども概ね「マレーシアとの逆転負けは西野監督のせいではない」というようなものばかりだった。
タイ・サッカーは盛り上がっているとはいえ、欧米の「大物」サッカー関係者が来ることはほとんどない。東南アジアの小さな一国にしか見られていないので、有名な人と言えば日本のサッカーに関係した選手や監督、コーチばかりだ。その中では西野監督は格別で、タイのサッカー業界からすればこれまでで一番いい買いものができたとも言える。西野監督はタイ代表の予選突破という夢だけでなく、タイ人の未来も背負っているのだ。
<取材・文・撮影/高田胤臣>