9月に行われたベトナム戦
(Photo by Pakawich Damrongkiattisak/Getty Images)
サッカー好きのタイ人が湧いた西野朗氏タイ代表監督就任
2019年7月、タイのサッカーファンたちが沸いた。サッカー日本代表前監督の西野朗氏がタイ代表、それから23歳以下のU-23タイ代表の監督を兼任すると発表されたからだ。代表チームを管理・運営するタイ・サッカー協会は喜びのあまり、西野氏の
契約書サインが完了していないうちに見切り発表してしまうというトラブルさえあった。
東南アジアは全体的にサッカー人気が高く、その熱は日本以上だ。自国のリーグも各国で盛り上がり、また日常的にサッカーが身近にあることも人気の理由だ。趣味としてプレーする者もいれば、違法賭博の対象であるため、
ギャンブルとして楽しむ人も少なくない。
パブなどでは欧米のサッカーが中継されるが、大半が賭博(違法)の結果を気にして観ているという
タイは子どもから大人まで、特に男性にサッカー人気が高い。とはいえ、タイ代表は2019年11月28日に発表された執筆時点で最新のFIFAランキングで113位(前回から-4位)とあまり強くない。かつては日本代表と実力は拮抗していて、1999年のFIFAランキングは日本代表が57位で、タイは60位だった。日本はその後Jリーグの発展などで代表選手のレベルも上がったが、タイ代表の水準は低下するばかりだった。
その後、2010年前後からタイのプロ・サッカーリーグがめざましく成長し、代表に選ばれるタイ人選手がJリーグでも活躍するようになった。これまでのタイのプロ選手はあまり給料も高くなく、金持ちの道楽といったイメージがあったが、海外でプレーしテレビコマーシャルにも起用される扱いになってきたことで子どもたちの憧れの職業にもなってきている。そんな中での西野氏の代表監督就任だった。タイ人サッカーファンが歓喜して当然である。
西野監督のタイ代表入りは急に決まったので、初陣はバンコク近郊で開催されたワールドカップのアジア2次予選G組のベトナムとの試合で、代表発表からわずか2ヶ月、9月のことだった。白星での発進とはいかず、0-0の引き分けに終わった。その後、インドネシアなどに勝利するものの、FIFAランキングで94位とタイよりも強いベトナム代表に苦戦。FIFA公式サイトを見ると、執筆時点で予選グループ順位は首位から3位へと落ち込んでいる。
11月19日に行われたベトナムとの試合後、タイ代表の外国人コーチが、ベトナム代表の韓国人監督に差別的ジェスチャーをしてトラブルになった。また、U-23タイ代表の方は東南アジア競技大会(SEA Games)では敗退した。
日本なら、場合よってはこの結果に批判が集まるところだが、果たしてタイ人サッカーファンの反応はどうなのだろうか?