話を元に戻そう。
今現在でも婦人科、特に女性のヴァギナについては様々な
社会的「神話」が蔓延し、それらの言説の多くはその真偽の有無に関わらず、私たち女性を惑わす。
今回のヴァギナ・ミュージアムの第一回目の展示として
「Muff Busters: Vagina Myths and How to Fight Them (間違い退治:ヴァギナについての神話とそれに抗う方法)」が開催された。ちなみに英語でMuff というとスラングで女性の膣を表す。この展示の会期は2020年2月28日までで入場は無料である。
会場には11ものヴァギナや妊娠、陰毛についての「神話」が並べられ、その婦人科的見解が掲載されている。
ここではいくつかその中でも印象的だったものを紹介したい。
神話「膣を持つ人が女性」/事実「そうでない場合もある」
これは
ジェンダー(社会的性)と生まれながら持った性が一致しない場合も往々にしてある、ということである。例えば女性の体を持って生まれたとしても、男性としてのアイデンティティを持つ場合もあるし、その逆も然り。
最近では、お茶ノ水女子大学が戸籍上男性であっても女性として性自認がある人も修学可能であると発表したことが話題になったが、このように
生まれ持った性が自身の性自認と一致しないことも普通にある、ということだ。
また、
どのような性に生まれ持ったとしてもジェンダーは個人の選択によって選べる、ということも念頭に入れておきたい。昨今ではLGBTQIA と様々な性自認があるが、それらは
個人の選択として尊重されるべきであるし、差別や侮辱の対象になることは許されるべきではないのである。
このような前置きの後、展示はより婦人科系の話へと進む。
神話「女性器は膣(ヴァギナ)と呼ばれる」/事実「そんなこともない」
膣という言葉が女性器を表す言葉のように使われているが、実は婦人科ではそれは女性器の一部でしかなく、詳しくは女性器の外側の部分は外陰部と呼ばれ、膣は外陰部と子宮頸を結ぶ器官の事を指すのである。
展示内には外陰部と膣を表す模型が置かれていた。英国で行われた調査によると
女性の半数以上の人々が膣の場所やその機能を理解していなかったという。
国内の性教育の欠如の問題として提議されているが、これはもしかすると日本でも同様な問題があるのではないだろうか。