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12月3日、パチンコ業界に衝撃的なニュースが走った。
業界関連誌が一斉に報じたのは、パチスロメーカーである
サミー株式会社が、「
P-SPORTS(ピースポーツ)」企画の第一弾として「
超ディスクアッパー選手権」なるものを開催するとのこと。そして、優勝者には「サミー」にかけて331万円の賞金が支払われるということだった。
P-SPORTSについて、既に商標も登録している主催者のサミーは、「大衆娯楽であるぱちんこ・パチスロにおける新たな遊びのカタチです。遊技におけるスキル(技術)を中心に“スポーツ”と捉えた『今までにない新しい競技カルチャー』と定義しています。」(原文ママ)と
イベント公式HPにおいて解説している。
P-SPORTS 超ディスクアッパー選手権 の特設サイト
本稿では、業界大手メーカーのサミーの新しい取り組みについて解説したい。
まずは、サミーが「P-SPORTS」というジャンルを提案した背景について。
パチンコ業界内部の視点から言えば、ギャンブル等依存症問題が声高に叫ばれ、世間一般からの厳しい批判に晒されがちなパチンコのイメージを、健全で健康的な「SPORTS(=競技)」としての側面をフォーカスする事によって改善したいという思惑があるのだろう。
外部的な要因として、
e-スポーツの台頭や、
プロ麻雀リーグ(Mリーグ)の創設等に触発された面もあるのだろう。世界的な広がりを見せる
e-スポーツは、今や国体の文化プログラムに組み込まれるほどの浸透度を見せているし、本来であればパチンコ同様、風営法に規制されている麻雀も、大手企業のスポンサードを受けプロリーグを創設することにより、健全性や競技性の高さをアピールしている。
テレビ(スマホ)ゲームや麻雀のような
社会的再評価の機会を伺うのが今回のサミーの取り組みだと言えるだろう。
しかし、パチンコやスロットが「競技」になり得るのか。
パチンコやパチスロはギャンブル、とはよく耳にする言葉であるが、実は法的な理解において、パチンコやパチスロが「遊技」と定義される重要な側面がある。それは「
技術介入」という要素。あくまで
遊技客の技術によって、獲得する玉やメダルの数が変わるという立て付けがあるのだ。例えば、パチンコのハンドル操作やスロットの目押しがまさにこの「技術介入」の最たるものである。
蛇足であるが、パチンコ台のハンドルに小銭等を挟んで固定しながら遊技することは、この「技術介入性」を無効化させるという理由で禁止されているし、パチスロの目押しを店舗スタッフがしない理由もこれにあたる。
今回の「
超ディスクアッパー選手権」は、このパチスロの「
技術介入」要素に特化し、その技術を競い合うことによって、「競技」としての面目を保とうとしている。