真実はただ一つ。モラハラ夫と10年後、20年後も一緒にいたいか否かである<モラ夫バスターな日々39>

調停委員もモラ文化応援団だったりする

 そして、妻の代理人として連絡してきた弁護士に対して、 ・妻が出て行く理由として思い当たることはない ・(自分が)妻と直接話せば、(円満に)解決する ・妻が離婚を希望していると思えない ・離婚言ってるなら頭がおかしいに違いない  などと真顔で言ったりする。  このように言い立てるモラ夫は、離婚に反対する。離婚に反対したと聞いて、多くの妻は、「えッ!!、『離婚するぞ! 出て行け!』って何度も怒鳴ったんですよ」と驚く。  私が、「モラ夫の『離婚するぞ!』は単なる脅しで、本気ではありません」と言っても、妻の驚きは収まらない。ある妻は、「『お前には一円もやらない』も脅しですか?」と訊いた。私が「いや、それは本気ですね」と言うと、さらに納得できない顔をした。

モラ夫と同じ墓に入りたくなければ行動すべし

 冒頭の女性のケースは、その後、離婚調停になった。  調停でモラ夫は、「離婚の理由は、全く思い当たらない」と言い張った。妻は、「(離婚理由は、夫の)モラハラです」と説明したが、調停委員は全く納得しない。委員は原則、年配者であり、また、ある程度社会的な地位にあった者が多いので、保守的であり、モラ文化側にいる(つまり、モラ委員)ことが多いのだ。  そして委員は、妻に対して「離婚理由を書面にまとめてくるように」と指示した。  因みにこのパターンでは、書面を作成、提出しても、モラ夫の嘘満載の反論書面を引き出すだけで、労力に見合った進展は望めない。  多くの事例では、婚姻費用の話合いを先行させ、月々払わせるのが一番効果的だ。モラ夫の殆どはとてもケチなので、婚姻費用を支払わせると早期にギブアップして、離婚に応じる可能性が高まる。  万一、離婚調停が不成立でも、離婚裁判に進めば、いずれ離婚が成立する。つまり、離婚の成立は時間の問題である。  それでも、モラ夫との離婚に踏み出すか迷っている方も少なくない。そんなとき、私がよくする質問がある。 ・10年後、20年後も彼と一緒で幸せですか。 ・同じお墓に入って、永遠に彼の妻でい続けたいと思いますか。  もしも、いずれかの問いへの答えに戸惑いがあれば、一度、離婚を真剣に検討したほうが良い。 <文/大貫憲介 漫画/榎本まみ>
弁護士、東京第二弁護士会所属。92年、さつき法律事務所を設立。離婚、相続、ハーグ条約、入管/ビザ、外国人案件等などを主に扱う。コロナによる意識の変化を活動に取り込み、リモート相談、リモート交渉等を積極的に展開している。著書に『入管実務マニュアル』(現代人文社)、『国際結婚マニュアルQ&A』(海風書房)、『アフガニスタンから来たモハメッド君のおはなし~モハメッド君を助けよう~』(つげ書房)。ツイッター(@SatsukiLaw)にてモラ夫の実態を公開中
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