闇株新聞は「ヤフー(Zホールディングス)とLINEの経営統合」どう見たか?

少ない資金ですべてを取り込む孫メソッド

 まずこの新会社はソフトバンクとNAVERが折半出資しているが、「なぜか」ソフトバンクの連結対象となる。連結対象となるとソフトバンクは新会社の資産をすべて取り込むことができるため(利益は出資比率に応じた半分だけである)、ソフトバンクはわずか1715億円(TOBによるLINE株の買い付け総額3430億円の半分)の出資と、子会社ZHDが発行する新株だけでLINEのすべてを取り込んでしまうことになる。  これはZOZOでも見られたように「できるだけ少ない資金で対象会社をすべて取り込んでしまう」孫正義会長率いるソフトバンクグループの基本姿勢である。実際、ZOZOではTOBの上限を50.1%としていたため、応募株数の62%程度しか買い入れなかった。余談だが、前澤氏は依然として25%程度を握る大株主として残っている。  ZHDとLINEの経営統合に話を戻そう。まず、ZHDの発行する新株の発行価格は当然のように未定である。しかしZHDとLINEの交換比率は 1対11.75 とすでに決められている。両社の株価は、現時点(11月21日前場終了時点)でZHDは383円、LINEが5150円であるため、その比率は13.44倍となる。  つまり、LINEの株主(実質的にはTOBに応募しないNAVERのこと)は「かなり不利」となるわけである。  LINEのTOB価格は5200円と決められているため、今後、LINEの株価は5200円を超えず、かといって値下がりもしないと考えられる。しかし、ZHDの株価は別である。440円程度まで値上がりすれば、LINEとの交換比率 1対11.75 と釣り合いが取れてくるが、発行済み株数の6割近くに達する新株発行を行えば、文字どおりZHDの株式価値は6割希薄化するものである。統合報道前のZHDの株価は450円。11月18日の統合発表を受けて380円まで売り込まれ、直近では395円(11月22日終値)にあるが、もう一段下げてもおかしくないだろう。そうなれば、一層NAVERが不利となり、不満が出てくることも考えられる。

発表を急ぐために生じた焦り!?

 おそらく、「経営統合によりZHDの株価が上昇するため、NAVERにとって有利な経営統合となる」とソフトバンク側が囁いていたはずであり、ソフトバンクの親会社のソフトバンクGももっと高値でソフトバンク株式(まだ66%を保有している)を高値で売却できると目論んでいたはずである。しかし、「とりあえず」市場の評価は逆となっている。  全体的に今回の経営統合案は「発表を急ぐために大急ぎで取り決めた」と思われる部分がある。この統合決定もソフトバンクというよりグループ代表であるソフトバンクGの孫会長の意向とアイデアと「あせり」が反映されているような気がする。  今後のZHDの株価次第であるが、問題が出てくる可能性もある。
‘10年創刊。大手証券でトレーディングや私募ファイナンスの斡旋、企業再生などに携わった後、独立。証券時代の経験を生かして記事を執筆し、金融関係者・経済記者などから注目を集めることに。2018年7月に休刊するが、今年7月に突如復刊(「闇株新聞」)。有料メルマガ配信のほか、日々、新たな視点で記事を配信し続けている。現在、オリンパス事件や東芝の不正会計事件、日産ゴーン・ショックなどの経済事件の裏側を描いた新著を執筆中
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