11月18日に
ヤフーとLINEの経営統合が発表された。このヤフーは持株会社であり、上場会社のZホールディングス(以下、ZHD)と同義である(厳密には、ヤフー株式会社は10月1日付けでZHDへと社名を変え、同時に事業部門を分割して傘下に二代目といえるヤフー株式会社を100%子会社として設立している)。
両社の経営統合については11月13日夜に一部報道機関が伝え(参照:
日経新聞)、両社も翌14日には「経営統合を検討している」ことだけは認めていた。それを受けて、14日にはZHDの株価が459円、LINEが15日には5400円の高値をつけていた。
ただ、18日に発表された経営統合案は「和製プラットフォーム企業」としてのシナジー効果が強調されていたが、何よりもその具体的な経営統合方式の「わかりづらさ」が気になった。その経営統合方式を中心に解説する。
ヤフー親会社Zホールディングス(HD)の川辺健太郎社長(左)とLINEの出沢剛社長 (EPA=時事)
まず、
ZHDは発表時点における発行済み株数が
4,822,417,565株で、
ソフトバンク(携帯電話会社のほう)が自己株を除く議決権の44.6%に相当する2,125,366,900株を保有する筆頭株主(親会社)である。正式発表日(11月18日)の終値の422円で計算した時価総額は2兆350億円となる。
一方の
LINEは発行済み株数が
240,961,642株で、
韓国のNAVERが自己株を除く議決権の72.64%に相当する174,992,000株を保有する筆頭株主(親会社)である。同じく18日の終値の5150円で計算した時価総額は1兆2409億円となる。
この両社の正式な経営統合は1年近く先である2020 年10月になるとも発表された。
発表された「わかりづらい」経営統合方式では、ZHDの親会社であるソフトバンク(携帯電話会社)とLINEの親会社であるNAVERが折半出資して新会社を設立する、とされている。その新会社が資本参加するZHDの傘下に、事業会社のヤフーとLINEがぶら下がることになる。
統合発表資料より
ソフトバンクとNAVERは現在上場しているLINEに対して共同でTOBを行い、その取得した株式を資産にして新会社を設立する予定である。TOB価格は1株=5200円であるが、買い付け対象はNAVERの保有株式と自己株式を除いた65,968,343株となる。全額買い入れると総額で3430億円。これをソフトバンクとNAVERで折半する。
一方で、ZHDとLINEの株式交換比率は別途1対11.75と算定されているため(LINE1株に対しZHD11.75株)。ZHDは新株を2,831,284,030株発行し、NAVER保有分を含む(自己株は除く)LINEの全株と交換する。この発行株式は現時点におけるZHDの発行済み株数の58.7%にも相当するため、株主総会における特別決議による承認が必要となる。
さて、ここからがポイントである。