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どうしても四国新幹線が欲しいのです2019/10/19撮影 牧田寛
愛媛県の半被を着た若い職員なので、愛媛県庁の出展と思われる
閉会時間が近づき、出口に向かいますとすでに屋台はすべて片付けをはじめていましたが、なにやら幟が見えます。
“COME ON SHIKOKU!!”
「さぁ、次は四国の番だ。」
「四国の新幹線実現を目指して」
「今こそ考えよう。四国の未来のために。」
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どうしても四国新幹線が欲しいのです2019/10/19撮影 牧田寛
涙を誘う幟
高知運転所一般公開では、このような展示を見たことが無く、香川県ではJRが展示していましたが、松山運転所では愛媛県庁のようです。なにしろみきゃん半被を着ていますし、袖に愛媛県のネーム入りです。
いろいろ資料ももらいましたが、さすがは愛媛県、切迫感が高知県と全然違います。
どうしても、どうしても、ど〜〜〜〜〜しても新幹線が欲しくて仕方ないのです。なにしろ試算したのは大分市ですが、大分から佐田岬半島三崎、八幡浜、大洲経由で松山市までの東九州・四国新幹線豊予海峡先行開業構想まで報じられたほどです*。
〈*
九州と四国つなぐ新幹線は実現可能? 大分市が試算 2018/01/19日本経済新聞〉
豊予海峡は、八幡浜、三崎と大分県の間に数多くのフェリーが運航されており、人と物の流れは活発なのですが、流石にこの区間の新幹線先行開業は難しいものがあります。
実は、
JR5社のなかで新幹線の乗り入れないのはついにJR四国だけとなってしまい、高速道路との競争も厳しくなる一方で今後を考えると現状では、JR北海道の二の舞はほぼ確実であるため、何らかのてこ入れが必要なのは確かです。
この、どうしても新幹線が欲しいJR四国と自治体(とくに愛媛県)については、稿を改めてご紹介します。
四国から自治体がすべて消えてしまうまであと50〜80年程度という最悪予測まである中、流石に
キハ32改造新幹線(最高時速95km/h)ではシャレにもならないでしょう。
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去年撮影した現存の四国新幹線2018/11/04 宇和島運転区。撮影 牧田寛
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閉会の時間となり片付けが進む 2019/10/19撮影 牧田寛
閉会時間の15時となったので屋台はすべて閉店し、片付けが始まりましたので私も人の流れに乗って出口へと向かいました。
8000系アンパンマン列車の横ではミニSLの解体が数人の職員の手で行われていました。松山運転所のミニSLは、往復運転するだけの直線ですが、その一方でずいぶん長い直線でしかもアンパンマン列車の編成の横を走りますので子供は大喜びです。8000系の足回りの観察にも最適です。
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3人がかりでミニSL軌道の撤去中2019/10/19撮影 牧田寛
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ミニSLの片付け中2019/10/19撮影 牧田寛
8000系アンパンマン列車の横を走るのでアンパンマンと足回りを堪能できる
よく見るとこのミニSLは、石炭でなくプロパンガスで走っているようです。実際、石炭の燃える匂いがしませんでした。おそらくプロパンに水を加えて白煙を出していたのでしょう。
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片付け中のミニSL2019/10/19撮影 牧田寛
よく見るとプロパンガスを牽いている。ガス管の内側に水滴が付いている
北門に近づくと、正面にキハ32-1が屋根の下に留置されていました。国鉄最後の製造となったキハ32のトップナンバーですので貴重な車両と思いますが、屋根下留置は偶然でしょうか。
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北門近くに留置していたキハ32-1 2019/10/19撮影 牧田寛
トップナンバーなので将来確実に博物館行きだからか、屋根の下に留置してある
筆者は、北門をでて車に戻り、前回ご紹介した写真を撮るため松山駅の周りをぐるりと一周して帰路につきました。おわりの頃になるとすっかり日差しも戻り良い天気になっていました。
この松山運転所一般公開、現在地での公開は最後となりました。現在地は、住宅街に隣接しており、松山市街からも楽に来ることができますが、来年以降の移転先からは、田んぼの中に新設の南伊予駅が最寄りとなり、列車か自家用車でのアクセスとなりますので客層はかなり変わると思われます。
来年、大きく変わる会場と展示とお客さんがどうなるのか今から楽しみです。
【訂正とお詫び】
松山運転所の記事第一回目で、徳島運転所は、郊外移転済と記していましたが、徳島運転所は移転計画が大幅遅延しており、いまだに計画が具体化していませんでした。
徳島運転所は、牟岐線の文化の森駅付近へ移転するという話が徳島在住時の90年代半ばにはほぼ決まっていましたので、20年以上を経た今日ではすでに移転済と思い込んでおり、執筆前に確認をしていませんでした。その後徳島県、徳島市、JR四国の思惑の違いから何度も計画が白紙化されてきたとのことです。
お詫びして訂正いたします。
◆コロラド博士の「私はこの分野は専門外なのですが」JR四国松山運転所一般公開編3
<取材・文・撮影/牧田寛>
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Twitter ID:
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まきた ひろし●著述家・工学博士。徳島大学助手を経て高知工科大学助教、元コロラド大学コロラドスプリングス校客員教授。勤務先大学との関係が著しく悪化し心身を痛めた後解雇。1年半の沈黙の後著述家として再起。本来の専門は、分子反応論、錯体化学、鉱物化学、ワイドギャップ半導体だが、原子力及び核、軍事については、独自に調査・取材を進めてきた。原発問題について、そして2020年4月からは新型コロナウィルス・パンデミックについての
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