なぜ日本は「妊産婦の自殺率が高い」のか? 産後うつを引き起こすワンオペ育児を解消するには?

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SoutaBank / PIXTA(ピクスタ)

授乳を通じて育児を考える「全日本おっぱいサミット」

 満員電車でのベビーカーやiPad育児など、子どもを持つ親に向けられる視線は厳しい。公共の場での授乳もそのひとつ。「目のやり場に困る」「人前でするものではない」といった批判が寄せられる。  授乳を通じて育児を考えるイベント「全日本おっぱいサミット2019」が10月下旬、東京都渋谷区で行われた。2017年の初回以来、今年で3回目を迎える。  テーマは、「広い宇宙に、ママひとり?公共の場での授乳問題と密室育児」。とりわけ母親はひとりで子育てを頑張りがちだ。その間は周りから切り離されたと感じ、孤独感を抱きやすい。  密室での孤独な育児は親にどのような影響を与えるのか。ライター・編集者の今一生さんが司会を務め、さまざまなバックグラウンドを持つ登壇者がそれぞれの視点から語った。

苦しくても逃げ場がない。ワンオペ育児をする親の生活は、宇宙飛行士と同じ?

林公代さん(左)と村上麻里さん(右) 「ママさんと宇宙飛行士は共通点が多いと感じます」と話すのは、宇宙飛行士や宇宙に関する取材を20年以上にわたり続けている、ライターの林公代さん。  宇宙飛行士は、国際宇宙ステーションで仕事と生活を送る。6時の起床以降は分刻みのスケジュールをこなすマルチタスクの日々だ。  多忙な生活や閉鎖的な空間に疲れても、気分転換のため外出することもできない。24時間緊張状態が続き、孤独感を抱きながら過ごすためリラックスできる時間が少ない。  また役割へのプレッシャーから頑張りすぎたり、弱音を吐けず仕事を抱え込んだりして、ストレスを発散できないケースがある。  過去には、抑うつ状態に陥った宇宙飛行士が自室に引きこもってしまい、周りとのコミュニケーションがとれずに火災といった事故を起こしかけたケースもある。そのため、現在では、2週間に一度は精神心理担当と面談をする、一週間に一度は家族や友人とテレビ電話会議ができる、プレゼントなどの仕組みを整えている。  宇宙飛行士がおかれる状況は、家でひたすら子どもに向き合い、誰の助けも借りられずワンオペ育児で孤独感を強める親に似ている。  「自分がストレスを感じていることを自覚し、解消することが生き延びるために必須」「ひとりで抱え込まない、頑張りすぎないことが大切」と林さんは会場に呼びかけた。
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「日本社会には『お母さんはこうあるべき』という考えが強い」
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