佐野SAで再度ストライキに突入。緊迫する現場で女性組合員が涙を流した理由

 佐野サービスエリア(SA)で今年8~9月にストライキを実施したケイセイ・フーズ労働組合が11月8日の午前7時から再び時限ストに踏み切った。組合は会社に対し、総務部長の加藤正樹さん(45)を復職させることや今夏のストライキが適法だと認めるよう求めている。  また、サービスエリアの事業を展開するNEXCO(東日本高速道路株式会社)や同社の子会社であるネクセリア東日本株式会社の責任を問い始めたところに、今回の争議の特徴がある。

スト破りで緊迫する現場

福田建設の社員ら(右奥)と加藤さん(左手前)

福田建設の社員ら(右奥)と加藤さん(左手前)

 「スト破りだ!」  午前6時半過ぎに佐野SAに到着した筆者の耳に、「スト破りだ!」という叫び声が届いた。ケイセイ・フーズ労組の組合員や支援者たちが慌ただしく建物の裏手へと掛けていく。  そこには、レストランの開店準備に向かう何人かの姿があった。労組がストライキを打っても営業できるように、会社側が人を集めたようだ。そのうちの一人は、福田紳一社長の経営する建設会社の社員であると名乗った。彼らは時限ストの間中、レストランの入り口に立って組合員と対峙し続けた。
アピールをするケイセイ・フーズ労組の組合員ら

アピールをするケイセイ・フーズ労組の組合員ら

 一方、組合員たちはレストラン前でプラカードを掲げてアピールを続ける。「加藤さんを戻してください」「交渉に誠実に応じてください」と声を上げる組合員らの表情は痛切そのものだ。

加藤総務部長の復帰が組合員の願い

 今回のストライキの目的の一つは、加藤さんがきちんと職場に戻れるよう会社に認めさせることだ。  今年の7月、佐野SAを運営するケイセイ・フーズは、銀行からの融資を凍結され、取引先への支払いが遅延。次第に商品が納入されなくなっていた。加藤さんは、取引先に掛け合い、代金を前倒しで支払う代わりに、きちんと納品してくれるよう求める覚え書きを作成した。ところが会社側は突然覚え書きを反故にするとともに加藤さんに解雇を通告。これが前回のストライキの発端だ。  その後、9月には経営陣が退き、ストライキが一度は終息した。しかし新しく就任した福田社長の下でも、加藤さんへの退職の強要がやむことはなかった。それどころか11月6日には、加藤さんに自宅待機を命じたのだ。これが今回、ストライキに踏み切ったきっかけとなった。
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従業員からの厚い信頼「加藤さんを私たちから取り上げないで」
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