カジノ誘致を巡る「利権」という幻想。甘い汁を吸えるのは誰なのか?

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カジノ誘致を巡る2つの「利権争い」

 カジノ誘致については、現在水面下の利権争いがだんだん激しさを増している。今回は、あまり表に出ていない「とんでもない話」も含めて解説する。  現状はカジノを含むIR(統合型リゾート)をどこに誘致するのかと、それぞれにおいてどのカジノ運営会社に運営を委託するのかの2つの大きな「利権争い」がある。どちらにも桁違いの利権が想定されており、各自治体を含めた各社各様の思惑が複雑に絡み合い、だんだんその激しさを増している様子がはっきりと見える。  カジノを含むIRの誘致は、とりあえず2020年夏の東京オリンピック後に3か所に絞るようで、現状では大阪府・市と横浜市が先行している。残る1枠を長崎県、和歌山県が追っている。さらにその前段階の「検討中」には北海道、東京都、千葉市、名古屋市あたりが続く。  IRの誘致は2025年の万博も招致した大阪府・市(どちらも会場は大阪湾の人工島である夢洲)が日本維新の会主導で先行していた。ここにきて官邸主導で横浜市(横浜港の荷揚げドッグを撤去して会場とする)と、検討中であるはずの北海道(苫小牧市)が「当確」かのように報じられているが、まだまだ流動的なところがある。

カジノ利権に食い込む「港湾局」の陰

ラスベガス

ラスベガス。Imageby zzim780 via Pixabay

 振り返ると、日本において「カジノ」が最初に話題となったのは、1999年に東京都知事となった石原慎太郎氏が都知事選挙中から「お台場カジノ構想」を提唱したあたりからである。しかし今から考えてみると、この発言は「カジノ」よりも「お台場」のほうに力点が置かれており、バブル真っ盛りの1989年に着工した臨海副都心計画(お台場)、2001年に決定されたとされる築地魚市場の豊洲移転計画とまったく同じ構造であり、最初から東京湾岸にすべての利権を集中させる方策の1つだったはずである。 「お台場カジノ構想」も「築地魚市場の豊洲移転計画」も石原都知事や2000年に就任した浜渦武生副知事の影響力ばかりが大きく伝えられているが、臨海副都心計画も含めて一貫して「目立たないように」取り仕切っていたのが東京都港湾局であり、そこに膨大な利権が隠されていたことはあまり知られていない。  バブルが弾けて臨海副都心計画の見直しが議論されたとき、強行継続させたプロジェクトリーダーの高橋俊龍・副知事や、後にお台場の魚市場用地を東京都に売却する東京ガスに天下っていた今沢時雄・取締役らは東京都港湾局の出身である(今沢氏は港湾局長だった)。  つまり当時も現在も、カジノ=(東京に限らず各自治体の)港湾局が深く関わっていることは覚えておかなければならない。
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2000年代から加速した議員とカジノの関係
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