フェミニストも納得する「ポルノ」とは? 独ベルリンのポルノ映画祭で考えるポルノの意味、そしてその力

レズビアン・ポルノやアニメのポルノも上映

 ポルノ映画祭のメイン会場はMoviementoというドイツで最も古い映画館の1つである。3つのスクリーン会場は会期中全てポルノ映画祭の会場として利用されていた。  昼の12時から毎日深夜までそれぞれのスクリーンで映画が上映された。長編の映画はもちろんのこと、短編集ではそれぞれ5分から20分にわたる映画が上映され、上映後には監督や演者によるトークセッション、Q&Aコーナーが設けられていた。短編集のセッションはそれぞれレズビアン・ポルノ、ゲイ・ポルノ、実験的なポルノ、教育ポルノ、アニメ・ポルノ等そのジャンルは様々だ。  ほとんどの映画のチケットが完売となっており、ポルノ映画祭会期中後も人気映画の追加上映が急遽決定された。  映画祭の初日、その幕開けのオープニング・フィルムとして上映されたのは自身もポルノ女優かつSMモデル、そして性教育者でもあるマディソン・ヤン監督による「Unravelled Intimacy (解かれた情交)」(2019)だ。  この映画はヤン監督自身の自伝小説「Daddy (パパ)」を基に、彼女の出版イベントに参加した登場人物(3組のカップル、それぞれが自身の関係性に問題を抱えている)がヤン氏の精神世界の中に入り込むことで、それぞれが新たな性、自分自身、そしてパートナーとの愛を発見する、という映画である。  また、この映画はスウェーデン出身、バルセロナ在住でオルタナティヴ・ポルノの第一人者であるエリカ・ラスト氏が新しく創設したプロダクション、Lust Cinemaの製作ということも特筆すべきであるだろう。エリカ・ラスト氏はこのポルノ映画祭のスポンサーでもあり、彼女のプロダクションで製作された映画が数々出品されていることを考慮すると、その影響力は多大なるものである。  また、蛇足だが、マディソン・ヤン氏は米・カリフォルニア州サンフランシスコでErotic Film School という3日間のポルノ映画製作専門の集中講座を設けており、世界各国から毎年応募がある、とのこと。

女性たちがケーキまみれで乱交する「Tease Cake」

 会期中、昼間の時間は主に短編映画集に時間が割けられていたので、レズビアン・ポルノ短編集をまず観に行った。  ベルリン在住のポピー・サンチェス氏の「Tease Cake」(Teaseは焦らすという意味。ここではチーズケーキに掛けられている)はクラッシク映画の色彩要素を用いて、女子会でケーキを食べていた4人の女性が、その場でケーキまみれになりながら乱交に及ぶ、というものであった。  これもエリカ・ラスト氏のプロダクションで製作されたもので、ラスト氏の手掛ける「XConfession」シリーズの一環である。このシリーズではラスト氏がオンラインの掲示板で集めた人々の性的妄想を映画化する、というものである。ラスト氏は幾度かゲスト監督を招き作品を提供しているが、これもその一環だと言えよう。  また、台湾出身のメディア・アーティスト、シュー・リー・チェン氏の作品「Fisting Club(フィスティング・クラブ)」もタイトル通りブラッド・ピット主演の「ファイト・クラブ」(1999年)をパロディ化したもので、ファイト(喧嘩)の代わりに女性同士がフィスティングをする、というコミカルな作品である。シュー・リー・チェン氏は日本でも「I.K.U」(2001年)というサイバーパンクポルノ映画を製作しており、知る人ぞ知る著名な映画監督である。  会場にはシュー・リー・チェン氏も来場しており、上映後のQ&Aセッションでは拍手喝采をもって迎えられていた。
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男性が器具を装着されて通路に吊るされるポルノも
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