「身の丈」にあった受験を強いられるとどうなるのか?
また、「身の丈」にあった受験とは何か、自身の体験を元に質疑を行ったのは
立憲民主党の初鹿明博議員だ。
初鹿明博議員:「そして経済的な問題をもう一回聞きますけれども、
安倍総理は所信表明で何と言っているかといったら、「子どもたちの誰もが家庭の経済状況に関わらず自らの夢に向かって 頑張ることができる、そうした社会を創り上げます」と言っているんですけれども、全く逆に行っているじゃないですか。
やはりこれは、追加の費用がかかる。それが地域によっては、宿泊とかを伴って
一回受けるのに五万円ぐらいかかる。二回受けるということになったら十万円になるわけですよ。
これは一回でやめておこうかな。そういう家庭が出てくることも、容易に想像できますよね。
私ね、大臣の身の丈発言のニュースを見て、自分のことを 思い出しましたよ。
中学校三年生のときに三者面談をやったんですよね。うちは経済的に豊かじゃありませんでした。「都立のどこを受けるの」「ここを受けますよ」と。先生が「じゃ、滑りどめの私立はと」言いかけたところを、うちの母親はそれを遮って、「お金がないので、私立は受けさせませんから。落ちるようだったら、働かせます」と。ばっさり言いましたね。「ああそうなんだ」と私もびっくりしましたけれども。「ああそうなんだ」と思いました。身の丈に合うというのは、そういうことなんですよ。
今、みんな身の丈に合うように受けているんですよ。残念ながら。それを少しでも負担をなくしていこうというのが、政府のやるべきことじゃないですか。それを新たな負担がふえることをなぜやるのか。
そして最初に言ったように、それが意味あることだったらいいけれども、全く意味ないわけですよ。
スピーキングの能力なんて、はかれないんですから。こんなばかげたことは、絶対にやるべきじゃないと思いますよ」
続いて、再び城井議員の質疑を紹介し、経済的な格差ではなく地理的な格差について言及する。
地理的な格差については、
離島の学生には費用補助の概算要求をしているが、へき地については交通費・宿泊費の配慮予定なしで、あくまでも居住地に近い試験会場を設置することが重要だと萩生田大臣は答弁している。
この地理的な問題について与党側の議員の質疑も紹介している。今回の国会PVでは、与党側の質疑も紹介されているのが特徴だ。こうして野党側の質疑と与党側の質疑が並べられると、
与党側議員の質疑がいかに大臣が都合のいい回答を発言できるか、巧妙に誘導できるように練られているのがよくわかる。
国会PVで紹介されていた
自民党の馳浩議員の質疑は次のとおりだ。
馳浩議員:「今回の大学入試英語民間試験導入成績提供システム、これを円滑に進める上で、実際に想定されると思うんですが、
各都道府県の公共施設とりわけ公立の高校、この場所の提供や 採点者監督者含めて、やはり教職員の協力を仰ぐことが 妥当ではないかと思われます。安定的なですね、民間試験といえども公益性がありますから、安定的な運営を 図る上でより一層、公立高校や公共施設 また高校の教職員、そして教職員の協力を 求める場合には、これは兼業規定にひっかかりますから、このことも含めてやはり、より一層文科省としても、条件整備にやっぱり力を入れる必要があると思いますし、私なりに提案いたしますが いかがでしょうか」
この質疑に対して、萩生田大臣は次のように答弁する。
萩生田大臣:「できるだけ受験生のみなさんのお近くで受験ができる環境をつくっていくことは、必要だと思っておりまして、既に文科省としては 国立大学の利用ですとか、あるいは各自治体に公共施設の 提供のお願いをしております。
今、ご提案のあった高校の 校舎につきましても、都道府県によっては既にそういう 取り組みをしていただいているところもありますので、よく状況を見ながら、こちらから必要な要請をしていきたいなと思っております。
また高校を使う上で 例えば試験監督ですとか、あるいはさまざまなサポートで、そういったことになれている人たちに参加していただくことも 必要なんだと思っております。
文科省から先生方を前提にお願いをするということは今のところ考えていませんけれども、しかし希望してやっていただける先生方は、兼業ができるような仕組みというものは、しっかり確保していきたい、こう思っております」
「今のところ考えていない」と言いつつ、将来的にその方向に進む気満々と言った感じの答弁である。
しかし、この公立高校の場所のみならず、採点者・監督者まで含めて教職員の協力を仰ぐという点は2つの問題点を孕む。