入管総務課課長が出した条件は「ハンストを止めれば仮放免を出す」
法務省、入管でも人道を無視したやり方に避難の声が上がっている
みな同じように再収容されていったことで、ハンストをする人が1人、また1人と増えていった。それに業を煮やしたのか、入管総務課課長が直接、被収容者に会いに来たという。
そして「ハンストを止めれば仮放免を出す」と条件を出してきた。そう言われた人たちはハンストを停止し、仮放免が出るのを待ち続けた。しかしいつまでも待たされ続け、人によっては2か月以上も待たされたままだった。
これに対して、「騙されたのではないか?」と怒り出した人たちがまたハンストを再開する……という堂々巡りとなっていった。ますます混乱が続き、収集がつかなくなっていく一方だった。
これには多くの支援団体などが「被収容者の人権に配慮していない」と、入管や法務省に対して次々と抗議声明を出していくことになった。それが功を奏したのかはわからないが、また少しずつ解放される人が出始めた。
最初にハンストをして仮放免されたものの2週間で再収容されてしまった、イラン人マジッドさんが10月16日に解放されたのだった。しかしまたもや2週間で入管へ出頭しなければならない。
続いて10月17日にイラン人のサファリさんとシャハラムさんが解放された。この日は合計4名が仮放免されたが、結局全員が2週間のみの解放となった。
それぞれの友人の家に帰っていくシャハラムさんとサファリさん。2週間後にまた収容されるかもしれない
シャハラムさんとサファリさんは、前回は仮放免の保証金が10万円だった。しかし2週間で再収容され、今回の仮放免の保証金は50万円に値上がっていた。
2人はお金を工面するため、あちこちの友人たちに頼みこんで、必死にかき集めた。今まで収容されていた人たちにとって、決して安くはない金額だ。
2週間だけ外に出て、また3度目の収容となるのだろうか。そのたびに彼らは保証金を集め、借金を抱えていかなければならない。
シャハラムさんは解放されたことに対して「仮放免と言われても、全然嬉しくなかった。だってまた捕まるから」と語る。
サファリさんも「そりゃあ、少しは嬉しかったよ。だけどもまた捕まるのかと考えると怖い。それに50万円も友人に借りて、病院に行くカネもない。首や腰がすごく痛いけど、どうしたらいいかわからない」。
2人は、なんの希望も持てないという感じだった。